ガンバが大好きだった。 熱狂が渦巻くホームスタジアムにいつも心を震わせ、サポーターから届く声援に勇気をもらっていた。 在籍した13年間を振り返っても、嬉しい記憶ばかりが残っているわけではない。プロとして戦っていけるのか。キャリアをスタートしたばかりの頃は涼しい顔で90分を走り切る先輩選手への驚きが、自分への不安に変わったこともある。のしかかる責任の大きさに押しつぶされそうになったことも一度や2度ではない。それでも必死になって食らいつく日々を過ごしているうちに、自然とサッカーが楽しいという気持ちがどんどん大きくなっていった。自身がどんな状況に置かれても、だ。 彼のキャリアでは初めて、ケガ以外の理由で戦列を離れることが増えた昨シーズンの終盤に尋ねたことがある。果たして、試合に出られなくなった今もサッカーを楽しいと思えているのか。即答だった。 「それが、楽しいんです。自分でも驚くほど気持ちが落ち