長年にわたって声援を受けて上がった甲子園のマウンド。熱烈な阪神ファンが見守る中で福原はすべての人への感謝を告げた。 学生野球はナインが一堂に会する機会が少ない。キャンパスが異なるため、全員が顔をそろえる機会はめったにない。だから、大切なことは日曜日に伝えることにしている。先日もそうだった。埼玉・川越のグラウンドで、東洋大を率いる高橋昭雄監督は130人ほどの部員を前にして、30分ほど、とうとうと話した。 「福原も大学の時は、そこまで勝てていなかった。でも、チャンスはどこにでもあるんだよ。あきらめることなく、最後までやりきること。いつか、どこかで誰かが見ている。人生のチャンス。頑張れば、夢は広がっていくんだから」 ほんの1日前は甲子園球場にいた。東都リーグ歴代1位の通算500勝以上を積み上げてきた名将も、思わず胸を詰まらせる。目の前で手塩にかけた教え子がマウンドに立っていた。 阪神の福原忍が現