27日、東京・築地の築地本願寺で行われた歌舞伎俳優、中村勘三郎さんの本葬での劇作家・俳優・演出家の野田秀樹さん(57)の弔辞全文は以下の通り。 ◇ 見てごらん。君の目の前にいる人たちを。列をなし、君にお別れを言いに来てくれている人たちを。君はこれほど多くの人に愛されていた。そして今日、これほど多くの人を残して、さっさと去ってしまう。残された僕たちは、これから長い時間をかけて、君の死を、中村勘三郎の死を、超えていかなくてはいけない。 いつだってそうだ。生き残った者は、死者を超えていく。そのことで生き続ける。分かってはいる。けれども、今の僕にそれができるだろうか。 君の死は、僕を子供に戻してしまった。これから僕は、君の死とともに、ずっとずっと生き続ける気がする。芝居の台本を書いているときも。桜の木の下で花を見ているときも。稽古場でくつろいでいるときも。落ち葉がハラハラと一葉舞うとき。舞台