歴史は数々の天才たちの仕事が絡み合って出来上がっている。宮崎駿監督がアニメ産業に起こしたイノヴェーションは、ピクサーのラセター監督を目覚めさせ、巡り巡ってジョブズの復活、iPhoneの誕生、そして世界の音楽産業の再生にまで連なっていく───。 エンタメ産業そして人類の生活を変えたスティーブ・ジョブズの没後十周年を記念する集中連載、第十九弾。 ■ジョン・ラセターと宮崎駿 二〇一四年、宮崎駿がアカデミー名誉賞を受賞した。日本人では黒澤明以来の快挙であり、アニメ監督としては史上初だった。この賞を得るともう他の賞は授与されなくなる、もしくは貰う意味がなくなるとすら言われている。映画界のノーベル賞といっていいかもしれない。 「アニメ史上、この芸術表現に誰よりも貢献した人物がふたりいます。ひとり目がウォルト・ディズニー。その次が宮崎駿さんです」 配給を担当したディズニー社を代表して、レッドカーペットの
今さらですがディズニーの『ベイマックス』を見てきましたよ。ええ。 CMや予告編を観たときは「まぁ、ディズニーの子ども向け映画だわな。退屈はしないけど飛び抜けた部分はない75点の答案だわ」と思っていたんですよ。作品で言うと『ライオンキング2』みたいな。 それが妙に評判良いんで見に行ったらズッコケました。限りなく100点に近い答案なんです。 しかも、表現として尖った部分が何もない。驚異的な映像が詰め込まれているわけでも、作家の狂気があるわけでもないし、アッと驚くストーリーテリングもない。なのに、頭からお尻までワクワクする映像が続くんです。 「あっ、日本のクリエイティブ終わったな」 そう感じました。だって、スタッフの中には天才って一人もいないと思うんですよ。秀才の集団。それが勉強に勉強を重ねて、頭に汗をかいて、切磋琢磨して物凄いものを作ってしまった。彼らは「チーム主義」でモノ作りをしている。だっ
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