「ルパン三世 カリオストロの城」に衝撃を受けたラセターだったが、念願の来日が叶い、「トトロ」を制作中だった宮崎駿監督に会う。興奮冷めやらぬなか今度は横浜で、窮地にあったジョブズとピクサー社を救うことになる「トイ・ストーリー」のアイデアを彼は着想する───。 音楽産業、エンタメ産業そして人類の生活を変えたスティーブ・ジョブズの没後十周年を記念した集中連載、第二十弾。 ■ネコバスそっくりに笑った宮崎駿 一九八七年。武蔵野はアカシデの森に秋風が舞う頃、三十歳になったジョン・ラセターは中央線に乗っていた。宮崎アニメに衝撃を受けてからもう六年が経ち、ディズニーを解雇された彼はピクサー社に転職していた。 来日できたのには理由があった。 オーナーのジョブズを驚かせ、じぶんの首を繋いでくれた世界初の短編CGアニメ、「ルクソーJr.」は日本のアニメ業界にも衝撃を与え、東京のカンファレンスに招待を受けたのだ。