前代未聞の「採決無効の申し入れ」となった。4月12日の衆議院厚生労働委員会での出来事だ。審議されていたのは介護保険関連法の改正。改正のポイントは、現役並みの所得がある高齢者が介護サービスを利用する際の自己負担比率を現行の2割から3割に引き上げることだ。 この日の厚労委員会では審議のみで、採決は14日に行われることが内々に決まっていた。野党に割り当てられた質問時間は1時間半で、当初の1時間より30分間増やされた。というのも、2時間の質問時間を求めた民進党らに対し、自民党が譲った結果になったからだ。ここまでは両党ともに熟議を求める姿勢に変わりない。 「法案以外の質問をするということは審議が十分」 ところが民進党の柚木道義衆議院議員が、質問の冒頭で森友学園問題について言及したことで、問題は発生した。柚木氏はNHKの世論調査のデータを基に、国民の約8割が政府の説明に納得していないこと、安倍昭恵夫人