「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を創設する改正組織犯罪処罰法が15日早朝、成立し、7月中に施行されることになった。「テロや犯罪防止に必要」「内心の自由を侵害する」--。成立を急いだ政府・与党のやり方には疑問が広がっている。 「想像していたより早く結論が出てしまったが、失望してはいられない。権力を監視し続ける必要がある」。戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」で逮捕され、戦後は再審請求に取り組んだ木村亨さん(1998年に82歳で死去)の妻まきさん(68)は、「共謀罪」法(改正組織犯罪処罰法)の成立に語気を強めた。 戦時中の42~45年、編集者や学者ら約60人が「共産主義を宣伝した」などとする治安維持法違反容疑で神奈川県警に次々と逮捕された。雑誌編集者だった木村さんも、温泉旅館での知人の出版記念会に出席したことで「共産党再建を謀議した」として43年に逮捕された。終戦直後、形だけの