「加計学園」問題の焦点は、岩盤規制に穴を開けたのは誰かである( 既報 )。それは、加計学園だけが通った穴だったからだ。しかし、関係文書を辿ると、「 国家戦略特区 」制度とは、本当に「 規制改革 」のためのものなのかという根本的な疑問が浮かんできた。 「省益」に代わる「総理益」リスク このような「特区」制度は、小泉内閣が2002年に始めた「 構造改革特区 」が最初だ。謳い文句は「 実情に合わなくなった国の規制が、民間企業の経済活動や地方公共団体の事業を妨げている 」というもの。本来は、官僚による規制(=省益)を一律に改革するのが王道だ。だが、政官の抵抗勢力によりそれができず、特定の民間事業や地方公共団体が提案し、官邸主導の会議が認定するという邪道が、突破口として設けられた。 一方、「 国家戦略特区 」は、第二次安倍内閣発足(2012年12月)1年後の2013年12月に国家戦略特別区域法で創設