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ブックマーク / crossacross.org (7)

  • 介護の賃金が上がらない理由

    先日日記を公開した際に「介護の賃金がなぜ低いのか」という意見をいくつかいただいた(統計を見ると若干上がっているようだが1、業界団体的には「従業員の確保が困難」な程度であるようだ2)。この問題は「高齢化問題(のうち特に年金財政の悪化)は少子化対策では解決しない」=「長寿化とは老いの苦しみが長引くことである」といった議論と並ぶ、長寿化議論の中核をなす問題の一つで、𝕏(ツイッター)ではよく解説しているので、この機会にブログに固定しておこうと思う。 介護の生産性を上げられない 介護の賃金が上がらない理由の一つは、介護は生産性を上げにくい――一人当たり、単位時間あたりの処理量を増やしにくいからである。 多くの労働集約産業では、機械化で生産性が大きく向上してきた。製造業ではかつて家内制手工業の時代は職人が鑿と金槌を振るって一つずつ作っていたものが、機械化により短時間でで何百という数を作るものに変わっ

  • メモ - 社会学内部からの社会学批判

    twitterでは社会学批判が喧しいが、当然ながら社会学内部からも同様の批判はある。それをメモ代わりにまとめておく。 太郎丸博:査読文化の欠如 「社会学者からの社会学批判」として昨今のインターネットSNSで最も引用されているのは、2009年の太郎丸博氏のブログ記事「阪大を去るにあたって: 社会学の危機と希望」であろう。彼の主張を端的に表す部分を抜き書きすると下のあたりだろう。 「最後に日の社会学に対する危惧を一つ述べておきます。日の社会学の特徴は、アカデミズムの軽視だと思います。すなわち、学会報告や学会誌を軽視しているということです。学会発表もせず、学会誌に論文を投稿もせず、それでも社会学者づらしてを出版したり、さまざまなメディアで発言することができるのが、日社会学の実情です。」 「アカデミズムを軽視し、に好き勝手なことを書くことを理想とするようになります。研究そのものから降りて

    メモ - 社会学内部からの社会学批判
  • メモ - 「性的消費」「性的目線」論は女性と性的少数者に対する抑圧だ。そう思いませんか、小宮友根先生?

    メモ - 「性的消費」「性的目線」論は女性と性的少数者に対する抑圧だ。そう思いませんか、小宮友根先生? 最近、ある下着会社の広告が「男性目線的である」として批判され、「女性担当者であればそんなことは起きない」等と言われていた。ところが、蓋を開けてみれば担当者は女性であったという。これに類する案件は数多く起きており、「男性目線的である」として叩かれた作品が実は女性イラストレーターのものであった、というのは日常茶飯事レベルになっている。 私はこれを全く不思議と思わない。女性のコケティッシュさが好きな女性というのは全然珍しい存在ではなく、むしろ多くの女性がうっすらとそうである、という印象さえ受ける。「性的消費」「男性目線」表現を規制するということは、女性のそういった側面をも抑圧することになり、女性に対するバッシングとなるだろう。 この手の話になると理論フェミニズムでは「男性目線を内在化させ~」等

    メモ - 「性的消費」「性的目線」論は女性と性的少数者に対する抑圧だ。そう思いませんか、小宮友根先生?
  • 日本型雇用を誰が殺したのか(その2)

    型雇用を誰が殺したのか 日型雇用を誰が殺したのか(その3) 大きな格差が残った「公務員」と「テレビ業界」 要約:民間企業が年功序列の逆流による人件費過剰問題に対処する一方、直近の収益を求められない公務員と慣習的寡占状態にあるテレビ業界では対処が遅れた。このため、両業界では民間一般に比べ賃金水準が著しく上昇する一方、賃金体系の年齢差別、サービスの削減や下請けからの搾取という形で高い賃金を補填している状態が続いている。 公務員、とくに地方公務員の所得は民間に比べ平均年収が200万円高く、上場企業正社員と比較しても100万円以上高い1。この点は批判されることが多く、実際選挙でそれを訴えて当選した人は少なくない。地方公務員の所得が民間の傾向から乖離して著しく上昇を始めるのが1992年ころである2。ちょうどバブルの崩壊と重なっていたため「不況のせい」と言われることもあったが、別記する実態を鑑み

  • 林業の過去、現在、未来

    花粉症の原因となるスギはなぜ植えられたのか 日の林業は産業として成り立つのか という2点について多くの人が興味を持っているようなので、それについてまとめておく。 概要 日の林業に関する現状は、戦後直後の状況に原因がある。これについてまず箇条書きで示す。 戦後直後には住宅は6000万人分程度を賄うほどしかなく、復興需要とその後のベビーブームに伴い絶対的な建築材不足が生じた。 敗戦直後は経済的にも沈滞し、輸入材を買えるほどの外貨はなかった。 住宅供給を求める声は中流や下流に多く、その圧倒的多数の世論を背景に住宅建設のための政策が推進された。 林業関係者は樹齢・樹種のバランスを取って伐採するべきと主張したが、世論は「成長の早いスギを植えれば問題ない」として急ペースでの伐採とスギ植林を進めた。 1950~1966年の期間に使える樹は伐りつくしてしまい、植林地域は樹齢15年以下の若木ばかりとなっ

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  • 日本型雇用を誰が殺したのか

    この原稿は2008年頃に掲示板に書き込んだものが元となっていますが、人件費率上昇の原因以外の部分について、2007年には八代尚宏「日の労働市場改革を急げ!」というかなり近い趣旨の発表があります。そのほか、この原稿と似た主張をしているものには、主に以下の文献があります。 経済企画庁 「昭和55年 年次経済報告 第5章 第1節 高齢化,高学歴化,女子の進出のなかの雇用問題」 1980 島田晴雄 「日の雇用 21世紀への再設計」 筑摩書房 1994 isbn:978-4480056030 八代尚宏 「日的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日経済」 日経済新聞社 1997 isbn:978-4532131340 Paul Wallace (原著), 高橋 健次 (翻訳) 「人口ピラミッドがひっくり返るとき―高齢化社会の経済新ルール」 草思社 2001 isbn:978-47942105

    日本型雇用を誰が殺したのか
  • 男女平等、格差対策、少子化対策のトリレンマ

    フェミニズムと弱者男性の対立」という話題が盛り上がっています。この議論において、“弱者男性”に対して「社会福祉に訴えるべきであってフェミニズムを敵視する意味が分からない」という意見が出ていますが、私は、「社会福祉があるからこそ弱者男性とフェミニズムが衝突するのだ」ということ、厳密に言えば「自分も高年収になって夫にはさらに高年収を求め、それでいて累進課税には反対するパワーカップル志向者」vs「子どもの教育機会均等を求める反格差派&責任を負うことを辞さない真の男女平等を目指す女性」の対立構図ということを指摘し、この議論に一定の理解を示します。 話の大前提 この話の大前提になるのは、「女性は自分より年収の高い男性としか結婚したがらない」という現在の風潮です。これは結婚に対する意識調査で性格・容姿の重要度が男女共通であるのに対して女性のみ経済力や学歴を求めるとする調査1、実際の女性の婚姻の双方で

    男女平等、格差対策、少子化対策のトリレンマ
    FFF
    FFF 2015/12/12
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