「半導体素材の韓国への輸出規制」については誤解だらけ。写真は韓国半導体製造大手のSKハイニックス(写真:ロイター/アフロ) なぜ、相手が韓国になると日本の報道は歪んでしまうのだろう。もっと冷静に事実を報道して欲しいものだ。 今回の「韓国に対する輸出規制」に関しては、メディアは『半導体材料を“事実上の禁輸”』『対韓輸出規制を発動』などと、勇ましく報道している。それと同時に、記事では、『自由貿易を掲げてきた日本へ各国から批判が集まる懸念もある』『各国に恣意的なルール変更ともとられかねない』といった指摘もしている。 果たしてそうだろうか。 私は以前、経済産業省で貿易管理の責任者だった。その経験を踏まえれば、こうした誤解に基づく報道には首をかしげてしまう。こう指摘すると、経産省の代弁、もしくは擁護ととられるかもしれないが、それを恐れずに、正確な理解の一助になることを願ってあえてコメントしたい。 以
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba 三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba 三橋貴明後援会ホームページの「三橋通信 」で、三橋の日々の活動内容をご紹介しています。 株式会社三橋貴明事務所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから」 三橋貴明のツイッター はこちら 人気ブログランキングに参加しています。 人気ブログランキングへ -------------- 三橋貴明の新刊、続々登場! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ チャンネルAJER更新しました。 『繰り返す歴史(後編)③』三橋貴明 AJER2011.10.11(1) 『繰り返す歴史(後編)④』三橋貴明 AJER2011.10.11(2) 今週は、前回同様に「繰り返えす歴史」についてお話し致します。またまた大好評を期待いたし
3.キルクーク (3)トルコ、影のプレーヤー(前回 のつづき) トルコがイラク北部のクルディスターン地域政府の存在を将来的にどう判断するだろうか。クルド国内のクルド人の分離主義を煽るとして、結局は地域政府を潰しにかかるのだろうか。イラクの混乱に乗じてキルクークの油田地帯までをも視野に入れた軍事作戦というシナリオも、既に紹介した。また、そうまでしなくともトルコは、イラクとの国境を封鎖してクルディスターン自治政府を経済的に窒息させることもできる。トルコが送電を停止すれば、イラク北部の繁栄は、たちまちにして輝きを失うだろう。 だが、そうした政策のコストも安くない。イラクとの貿易で潤う建設業やトルコ東南部の人々への打撃は大きい。アメリカにとっても、イラク北部の安定と繁栄は重要である。イラクで一番安定している地域をトルコが混乱させれば、トルコ・アメリカ関係は難しくなろう。 >>次回 につづく
3.キルクーク(前回 のつづき) (3)トルコ、影のプレーヤー このイラクのクルディスターン地域政府とトルコ政府の間の摩擦要因がPKK(クルディスターン労働者党)である。PKKは1980年代にトルコからの分離独立を求めて活動を始めたクルド人の組織である。このPKKがイラク北部に拠点を構え、トルコ領内へと出撃している。 トルコ政府はイラクのクルディスターン地域政府にPKKの活動の取り締まりを求めてきた。トルコ政府によれば、クルディスターン地域政府の怠慢により、クルディスターン地域政府によれば、その力不足により、PKKの活動が続いている。2007年末に、トルコ議会はPKKの掃討のためにイラク領内に侵攻する許可をトルコ軍に与えた。そしてトルコ軍のイラク領爆撃が始まった。また2008年に入ると、トルコ軍の陸上部隊がイラク領内に入った。短期間の作戦の後にトルコ軍は撤退したが、イラク領の公然たる侵犯で
3.キルクーク (2)中東の「台湾」(前回 のつづき) だが問題もある。それはイラクのクルド人が独立状態になれば、その影響がトルコのクルド人にも及ぶのではないかとの懸念である。トルコの人口の四分の一はクルド系の人々である。もちろんイラクのクルディスターン地域政府は独立という言葉を慎重に避けているし、トルコのクルドを煽動するほど愚かではない。しかし、心の底ではイラクのクルド人が独立を望んでいるのは紛れも無い事実である。2005年にイラクの新憲法の批准のために国民投票が行われた際には、クルド地域で同時に独立を求めるかどうかの非公式な投票が行なわれた。圧倒的な多数が独立を支持した。クルディスターン地域政府が独立を宣言しないのは、それを望んでいないからではなく、それがトルコなどの周辺国の介入を招く危険性が高いと認識しているからである。実質は独立国なのに周辺諸国は、それを承認しない。しかも、当事者も
3.キルクーク(前回 のつづき) (2)中東の「台湾」 トルコのイラク情勢に関する利害関係は複雑である。イラク北部地域が実質上の独立状態にあり、中部とは違って治安も安定しているため、経済ブームに沸いている。海外に亡命していたクルド人が資本と技術を持って帰国し始めた。空港が、道路が、ショッピング・モールが、建設されている。ブームよりバブルという表現が、よりふさわしいかも知れない。このバブルで一番潤っているのはトルコの建設業界である。そしてイラクのクルド地域への投資の8割はトルコからである。*7 またトルコの電力業界も恩恵を受けている。電力供給の復旧にイラクの他の地域が苦心している中、北部のクルディスターン地域政府はトルコから電力を輸入して、問題を解決したからである。クルディスターンの明るさは、まさにトルコから電力のおかげである。 さらにトルコの石油業界さえ、このブームから利益を上げている。と
3.キルクーク (1)イラクの「エルサレム」(前回 のつづき) この問題には影の当事者がいる。トルコである。トルコは、トルコ系のトルコマンを支援する姿勢を示してきたし、この土地に対する興味を示している。クルディスターン地域政府が、キルクークの石油資源を獲得し、経済的に強くなり過ぎるのは望ましくない。少なくとも一部では、そうした考えが持たれているようである。必要とならば、トルコ軍が介入してキルクークを制圧する。そうしたシナリオも長らく語られてきた。1980年代のイラン・イラク戦争の際に、もしイラクが敗れ国家が分裂するような状況が発生すれば、トルコ軍がキルクーク油田を占領するかも知れない。そうした展開が語られた過去もあった。再度その亡霊が漂い始めた。イラク内部の争い、周辺諸国の意向が複雑に絡み合いもつれあっている。キルクークは、パレスチナのエルサレム問題のようにイラクにとって解決の難しい問題に
3.キルクーク(前回 のつづき) (1)イラクの「エルサレム」 そうした問題の地域の中でも最も関心を集めているのが、キルクークである。バクダッドの北70kmにあるキルクークは人口70万の都市で、1965年に石油が発見された。しかもキルクークの油田は世界最大規模の埋蔵量を誇っている。歴史的にはクルド人が多数派の都市であったとクルド人の歴史は記憶している。逆にアラブ人の認識は、歴史的にキルクークはアラブ人が多数の都市であった。1970年代に、この都市の石油開発が本格的に始まると、南部から多くのアラブ人が移住し始めた。またフセイン政権下ではクルド人の比率を下げるために、クルド人のキルクークからの追放が行なわれた。さらにアラブ人の比率を引き上げるために、南部のシーア派地域からアラブ人の移住が行なわれてきた。さらに、この都市にはトルコ系のトルコマン人も多数生活している。つまりクルド人、アラブ人、トル
2.石油は誰の物か? (2)新憲法(前回 のつづき) 次の第112条の第1項が、連邦政府つまり中央政府が、地域政府などと協力して、現在生産中の油田の管理を行なうとしている。ここで、はっきりと地域政府に重要な役割が与えられている。また第1項は、収入の人口に応じた公平なる分配を定めている。同時に前政権下で損害を受け置き去りにされた地域に関しての特別の配慮も求めている。つまり北部のクルド地域と南部のシーア派地域の優遇を求めているわけだ。しかし何が、「公平なる分配」なのかについては具体的な指摘はない。この第112条の第2項は、石油政策の立案に当たっては、市場原理に基づき投資を奨励すると定めている。外国からの投資を前提とした文言である。 第115条は、連邦政府つまりバグダッドの中央政府と地方との関係を定めている。具体的には「連邦政府の排他的な権限と規定されていない全ての権限は」地方政府などに属すると
2.石油は誰の物か?(前回 のつづき) (2)新憲法 しかし、この石油法案の中の批判を受けた条項、つまり外国資本の参入さらにはクルディスターン地域政府に与えられた強い権限は、突然に出てきたものだろうか。こうした条項の出てきた背景は何だろうか?この法案と同じ様に、占領下で成立したとして、さらにはクルディスターン地域政府の力が強過ぎるとして批判された法がある。それは新しいイラク憲法である。この憲法の検討が、石油法案の背景を照らすだろう。 この憲法は石油について、また地域政府の権能について、いかに言及しているのであろうか。各国の憲法が人権や民主主義について語るように、中東の憲法は当然のように石油に言及する。隣国のイランがそうであるように、イラクの憲法も石油について詳細に語っている。 第111条が、石油とガスはイラクの全ての地域の人々の所有物であると宣言している。全ての地域というのは、石油の出ない
2.石油は誰の物か? (1)石油法案(前回 のつづき) 「占領下」での重要な立法は不可とする抗議、あるいは起草の過程が不透明であるとの批判に関しては、議論をしても生産的ではないだろう。イラクに十数万のアメリカ兵が存在するという現実を「占領」と受け止めるかどうかに関しては、政治的な立場によって見方が異なるからである。また起草の過程に関しても、それを不透明とするか、あるいは議会が選んだ政府の行為であるので正統かつ透明なものと見るかも、政治的な立場の問題であって、客観的な議論にはなじまないからである。 だが三番目と四番目の批判、つまり石油資源を外国に売り渡すものだとの批判、さらにはクルディスターン地域政府の権限が強過ぎるとの抗議に関しては、どうだろうか。こうした点について法案は、何と言っているのか。具体的な条文に当たって見よう。法案の第9条が石油契約について言及している。契約の一方の主体に関して
2.石油は誰の物か?(前回 のつづき) (1)石油法案 しかし、いずれにしろ現段階で治安が改善されると、石油生産も軌道に乗り始めた。*2こうした状況でイラクは、その石油政策をどうしようとしているのか。その石油政策の基本は何であろうか。実はイラクは、その基本を決めるべき石油法の立法に取り組んできた。 2007年2月イラク政府は42条と四つの付帯条項からなるイラク石油・ガス法案を議会の審議に付した。*3ここでは、略してイラク石油法案として言及しよう。しかし現在に至るまで、この法案は採択されていない。たなざらし状態に置かれたままである。なぜであろうか。それは、この法案に対する批判が強いからである。批判の論拠は四つである。まず、石油法案のように重要な法は、「占領下」で採択されるべきでないとの、そもそも論である。現在のイラクをアメリカの占領下にあるとみなす人々は、イラクの内外に少なくない。こうした人
●Tyler Cowen(1990), “Economic Effects of a Conflict-Prone World Order”(Public Choice, Vol. 64, No. 2, pp. 121-134) 1.Introduction(はじめに) 国際紛争や戦争の経済効果を巡っては今日までに激しい議論がたたかわされてきた。軍国主義(militarism)に批判的な論者は、しばしば、戦争と軍備増強に伴うコストを指摘する。例えば、Reston(1988)は、アメリカとソ連とによる軍事防衛のための支出は両国を合計して1日あたり15億ドルを超えると指摘している。さらには、戦争の脅威(あるいは可能性)は、多くの人々が懸念を表明しているように、社会全体を軍国主義に傾かせ、社会的な統制意識(regimentation)やナショナリズムの感情をかきたてる可能性があるとともに、現実の
中国の国の仕組みというのは、非常にシステムチックに出来ているなぁと思うことがよくあります。中国がなぜ、外貨貯蓄高が増えるのか、その仕組みについて、中国貿易という観点から書きたいと思います。 中国と国際貿易をする際に、貿易権という権利が必要なことは、よく知られていますが、貿易権と一言で言いますが、貿易権をもって、どんな手続きを行なっているか知っている方は、実際に貿易実務を行なっている方以外、あまり知られていないように思います。 貿易権を持っている企業と中国の外貨を管理しているお役所『外貨管理局』と非常に関係があります。 中国から海外に商品を輸出する際に、『外貨核銷単』という書類を準備します。『外貨核銷単』という書類には、どんなことが記載されているかと言えば、海外から発注の入った商品価格と、品名が記載されています。 どんな商品が、いくらで発注を受けたかについて、記載した書類です。 中国の国際貿
大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(だいきぼこうりてんぽにおけるこうりぎょうのじぎょうかつどうのちょうせいにかんするほうりつ、昭和48年法律第109号)とは、大規模小売店舗の商業活動の調整を行なう仕組みを定めた日本の法律である。略称大店法(だいてんほう、俗におおだなほうとも)。2000年(平成12年)6月1日廃止され、同日より大規模小売店舗立地法が施行された。 概要[編集] 1973年(昭和48年)10月1日に制定され、翌1974年(昭和49年)3月1日に施行された、「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業者の事業活動の機会を適正に保護し、小売業の正常な発展を図ることを目的」とした法律。 百貨店、量販店などといった大型店の出店に際して、この法律に基づき「大規模小売店舗審議会」(大店審)が審査を行う(いわゆる「
観測気球かと思いきや、本当にその方向であるようなので改めてピックアップ。 証券化商品の時価評価、米証取委が基準緩和 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081001-OYT1T00462.htm じゃあいままでの金融ビッグバンは何だったのかと竹中平蔵教授には一度心逝くまで懺悔室に篭っていただきたいと言いたい人も増えてしまうんじゃないかなあと思うのですが、とりあえずは。西海岸の人はとりあえず全員吹っ飛んでいいよ俺たち無事だしと言いたげな政権狭間の豪快なスタンダードシフトの意志決定には頭が下がる思いであります。 記事中は、不良債権処理の先送りという言い方をしていますが、まあ当然のことのように不良債権が不良であるかどうか自体が分からなくなるわけですから、当面の決済危機は回避できますよという話は牽制球としてはそれ相応の意味はあると言うことのようです。ただ
難しい話題なんだがこれも気になるところを書いてみよう。話は先月の17日、独禁法違反の訴訟について欧州第一審裁判所でマイクロソフトが敗訴したというニュースだ。単純な話、私は意味が掴みきれなかった。というか、以前の経緯が少しわかるのでなおさら、今回の敗訴の意味が難しい。 その後、半月が経つのだが、このニュースの意味が依然よくわからない。産経新聞と組んだマイクロソフトだからということみたいな背景でもないのは明白だとしても、それほどニュースになっているふうでもない。日本ではあまり関係ない話なのか。すっきりとしたまとめにはならないだろうが、どう込み入っているのかくらいはブログのエントリにしておこう。 まずファクツの整理からだが、同日の朝日新聞記事”マイクロソフト敗訴 独禁法違反事件で欧州第一審裁”(参照)は日本での報道でも無難なほうだろう。 米マイクロソフト(MS)の欧州連合(EU)独占禁止法違反事
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