いつも楽しみにしている産経新聞の石原千秋の文藝時評、今月は文學界新人賞の小祝百々子「こどもの指につつかれる」を、川端の「片腕」の本歌取りだろうと書いていたが、それはどうかなあ。小祝のは老女の義手の話だが、「片腕」の男は若いのである。石原さん、近代文学会で、舘健一って人が「片腕」と「茨木」について発表するのを知ってふと思いついたんと違うかなあ。 - 昨年の秋ごろ、集英社インターナショナルの編集者である女性Fさんが、私の朗読会にやってきて、その後猫猫塾にも参加した。三月ころ、単行本執筆を頼みたいと言ってきたので、浜田山駅前で会った。前に猫塾でやった「世間学」を本にしたいようなので、承諾は与えた。「ようなので」というのは、この人、放っておくと平然と黙っている人で、著者である私のほうが場を盛り上げるありさまだったからだ。年齢も30代かと思ったら、あとで聞いたら20代後半であった。 だが、その後の進