「乗ったら目的地が墓場になりかねない」と思っていたところに起きた中国高速鉄道の大惨事。中国人が愛してやまない「最(=一番)」を用い、「営業距離は最長、技術は最も完全、能力は最強、速度は最高、建設中の規模も最大」と大ミエをきっていた鉄道相が、巨額の収賄容疑で更迭されたのが今年2月。その頃から「脱線の危険」「元技術者は乗らない」「世界の技術をパクっただけ」など安全面を疑問視する声や内部批判が噴出、「前鉄道相に愛人18人」(驚!)とスキャンダルまで飛び交うようになっていた。 各省の幹部が関連企業の要職を兼任する「政企不分(行政と企業が分かれていない)」は中国の構造的な問題で、汚職の温床となってきた。何より巨額な予算を私有財産のごとく扱う悪習こそが、中国社会の慢性病といえる。前鉄道相の右腕だった運輸局長も、「海外に2千億円以上の隠し資産を持つ」嫌疑で取り調べを受けており、中央紀律(きりつ)検査委員