戦死者約300万人の太平洋戦争末期、一度も本格的な戦闘をしないまま、兵士の7割以上、約5千人が命を落とした島がある。ほとんどが餓死か病死だったという。何が生と死を分けたのか? ノンフィクションライター・友松裕喜氏が真相を追った。
――なぜ「健康は善」という価値観が自明になったのでしょうか。 それは非常に広くて深い問題ですので、簡単にはお答えできません。ただ一つ重要な点は、数十年単位の長いスパンで、伝統的な宗教や地域コミュニティーが崩壊したことです。その結果、人々の価値観が多様に分裂していった。でも健康がいいという価値観には多くの人が同意した。相対的にこの価値観が強くなり、地滑り的に支配的になった。文句を言う人も少なくなり、いつの間にか強制的になった。それは人々を支配するのに非常に都合のよい原理だったので、政治家たちが利用していった。 自分でもきわめて乱暴な要約だと思いますが、そのような枠組みを仮に当てはめてみることで見えてくるものがいろいろあります。 たとえば「予防することで医療費を削減しよう」という意見もありますが、そもそも国民が国家予算を心配するというのは逆ではないかと思います。フランスの哲学者ミシェル・フーコ
※写真はイメージです(写真/Getty Images) フリーター、出版社勤務、医療系ニュース記者を経て医師になった大脇幸志郎さん。著書『「健康」から生活をまもる』に続き、7月には翻訳書『健康禍 人間的医学の終焉と強制的健康主義の台頭』を出版した。タイトルのとおり、このふたつは「健康第一」の価値観に疑問を呈する本だ。新型コロナウイルス感染症で揺れるいま、なぜこのタイミングで「健康」を疑うのか。その理由を聞いた。 * * * ――新型コロナウイルスの発生によって、「健康は善」という価値観はより強固になっているのでしょうか。 個人的な感覚としては、健康第一主義の声は歴史的に徐々に高まっており、それがこのコロナ禍によって加速したと感じています。もちろん、日本は外出の抑制も緩和も欧米の動きを後追いでまねしたところがあり、簡単にはくくれません。ですが全体としては、健康を守るべきだ、感染拡大の防止
船を下りると、すぐにわらわらと群がってくる。人をまるで怖がらない(撮影/写真部・馬場岳人) 観光客が差し出す煮干しが待ちきれないのか、バッグに飛び乗った。「ここに入っているのは知ってるんだから!」(撮影/写真部・馬場岳人) 家の裏手で、わずかな日陰を見つけてお昼寝中。この隙間なら横取りされる心配もなし(撮影/写真部・馬場岳人) コンクリートが固まる前にぺたりとワンポイント。猫に「立ち入り禁止」は通用しません(撮影/写真部・馬場岳人) うっかり窓を開けておくと勝手に入ってくる。追い出すのも一苦労(撮影/写真部・馬場岳人) 猫好きを悶えさせている“猫島”がある。瀬戸内海に浮かぶ、小さな楽園に上陸した。 住民15人に猫100匹…。青島(愛媛県大洲市)は、いくつかある「猫島」の中でも最強の「猫密度」を誇る。朝夕2便の渡し船で45分。小さな港に下り立つと、さっそく、猫たちの出迎えを受けた。 商店はも
女木島の猫たち。3匹います。後方のモアイ像は、イースター島のモアイ像修復プロジェクトに参加した高松市のクレーンメーカーが吊り起こし実験に使用したもの(撮影/楠本涼) 3年に一度の芸術の祭典、瀬戸内国際芸術祭がやってくる。華やかな有名作品が「表の顔」だとしたら、「裏の顔」も楽しみの一つ。今まで気付かなかった瀬戸内を巡ってみませんか。 【写真特集】年々移住者が増え続けている?瀬戸内の魅力はこちら * * * ●男木島 高松港からフェリーで40分。男木島(おぎじま)は周囲5キロほどの小さな島だ。瀬戸内国際芸術祭の参加作品では、波の音しか聞こえない海岸沿いの堤防から福島方面に歩き出そうとしているというオブジェ「歩く方舟」(山口啓介)や、フェリー乗り場の「交流館」として今も使われている「男木島の魂」(ジャウメ・プレンサ)などが知られている。 平地は少なく、島内は狭い路地や坂道、階段だらけ。その坂
男木島の漁港に集まった猫 (c)朝日新聞社 日本は「空前の猫ブーム」に沸いている。テレビ、雑誌、CMなどで猫を見ない日はない。「猫島」も注目のスポットだ。明確な定義はないが、徒歩で1周できるくらい小さくて、住民よりも猫の数が多いような島のこと。猫島を巡ると、かわいいだけでなく、それぞれの島が問題を抱えていることが見えてきた。ライター・瀬戸内みなみが「男木島」をレポートする。 * * * 香川県の男木島(おぎじま)も猫島のひとつだ。周囲約5キロ、人口約180人、猫は推定200匹。平日でも1日30人ほど、週末にはもっと多くの来島者がフェリーから降りてくる。その男木島で今年夏、先進的なプロジェクトが注目を集めた。島に暮らす猫全頭を対象に不妊・去勢手術を施したのだ。 この取り組みの画期的なところは、たくさんいる猫を観光資源のひとつとして建設的に捉えていることだろう。猫島は、なんとなく猫が増え、
港を散歩する猫(撮影/瀬戸内みなみ) 2月22日は#猫の日。猫たちの楽園と今や世界的な人気となっている愛媛県の「猫島」。その来るべき未来について考えてみたい。 【「猫島」で暮らす猫たちの写真はこちら】 * * * 愛媛県大洲市の青島は、かなり特殊な「猫島」である。 まずは猫の数だ。島に一歩足を踏み入れたとたん、猫の大群が波のように押し寄せる。そしてつきまとって離れない。日本全国に「猫島」と呼ばれる、猫がたくさん暮らす小さな島は幾つもあるが、ここまでの迫力のあるところはそうそうない。 来訪者が猫に餌をやる場所は決まっている(撮影/瀬戸内みなみ) 豊かな自然に囲まれた静かな瀬戸内海の島に、のんびりのどかに暮らすたくさんのひと懐こい猫たち――そんなイメージがテレビや雑誌、そしてSNSで広まり、青島は数年前から一躍世界的に有名になった。今では猫を見るためだけに、国内外からたくさんのひとがやって
批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。
日本人がなじんできた「お葬式のかたち」がいま激変している。従来型のお葬式ではなく、「家族葬」が広く受け入れられ、弔いの形は家から個へ――。葬儀費用の「見える化」と価格破壊は何を生… 続きを読む
自民党の閣僚や国会議員にも「ネトウヨ」のような発言が増え、籠池問題で保守派のイメージが暴落した。「あんなのと一緒にしてくれるな」と怒る保守の論客が、沈黙を破った。 続きを読む
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