礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎「変体仮名」廃止の経緯(春日政治『国語叢考』より) 今日の私たちにとって、江戸時代の庶民が読んでいた読本〈ヨミホン〉、草双紙〈クサゾウシ〉、瓦版の類を読むことは、ほとんど不可能である。それは、私たちの多くが、いわゆる「変体仮名」についての知識を欠いているからである。 今日、私たちが使用している「ひらがな」は、ほぼ一音に一字が対応している。しかし、かつては、「変体仮名」というものが存在し、必ずしも「一音一字」でなかった。そうしたことは、もちろん知っていたが、明治期に「変体仮名」が廃止された経緯について解説した本には出会ったことなく、以前からそのあたりのことが知りたいと思っていた。 一昨日、高円寺の古書展で春日政治〈カスガ・マサジ〉『国語叢考』(新日本図書、一九四七)を入