「お前の声は本当にきれいだ‥」 「ひとつききたい‥‥ お前と本当に"仲良く"なるには 男と女どっちになったほうがいい‥?」 「そ‥そうねえ どちらでも仲良くなることはできるけど‥‥」 「ほんとうに仲良くなれるのは‥‥」 「男の子‥かしら‥」 (「王ドロボウJING」アマルコルド前編/熊倉裕一) そんなわけで。「沙耶の唄」を終えた。砂漠に咲いた花の話だけをしようと思う。 郁紀が沙耶と出会う以前、僕たちがこのゲームのクリックを開始する以前から、沙耶は合目的に女性性を獲得している。郁紀が認識を違えてから男性性を獲得(自覚)するのは、沙耶や瑤と家族を形成した後だ。沙耶はいつだって郁紀に対して先行する。先行性が非対称性を生み、その非対称性がついに克服されることはない。 あるいは、「目的」と「理由」の違い、という言い方もできる。沙耶には目的があり、郁紀には理由があった。そういうことだ。"孤独に疲弊し、