「米ハーバード大学客員講師」を名乗る森口氏が、iPS研究の話を読売新聞記者に持ちかけてきたのは9月19日だった。 10月1日には、論文草稿と自ら行ったという細胞移植手術の動画などが電子メールで送られてきた。森口氏はこの論文を科学誌「ネイチャー・プロトコルズ」に投稿したと説明した。 取材は4日午後に約6時間、東大医学部付属病院の会議室で行われた。森口氏は「2月に重症の心不全患者(34)にiPS細胞から作った細胞を移植し、うまくいった」と概要を説明した。 記者の質問に対しても森口氏は、関連論文などを紹介しながら説明し、示された写真やデータなどの資料にも特に疑わしい点はなかった。投稿したとされるネイチャー・プロトコルズ誌が、専門家の審査を経て掲載が許可される有力専門誌だったことも、本紙が業績を信頼した理由だったが、12日現在、この論文は同誌に掲載されていない。 記者は常に科学部の医学担当次長らに