中国南部の農村で生まれ育った女性が、パリでハンサムな貴族と出会い、恋に落ち、やがてベルギーの正式な「プリンセス」になった。欧州貴族社会に根強い中国アレルギーを乗り越え、ひっそりと暮らすその中国人「プリンセス」とは……。 中国人女性がベルギー「王子妃殿下」に 中国は20世紀になっても、1912年まで満州族の皇帝が支配する王朝・清朝(大清帝国)だった。辛亥革命(1911~12年)で清朝が倒れ中華民国が建国するが、ラストエンペラー・溥儀(1906~67年)を筆頭とする清朝皇室・愛新覚羅(アイシンジュエルオ)家は、1924年まで中華民国政府による宮殿、財宝の温存、年金支給などの優待を受けた。 ただ1924年当時に“元皇族”待遇で暮らしていた者も2021年現在、ほぼ全員亡くなり、現代の中国人にとって「プリンス」「プリンセス」は遠い遠い昔のおとぎ話にすぎない。 そんななか、ベルギー王子に見初められたの