日本ネットワークセキュリティ協会 PKI相互運用WG・電子署名WGの共催で2014年6月2日に行われたBitcoin勉強会の資料を公開用に手直ししたものです。長い事、電子署名を専門にしており、そのような観点でビットコインのデータや署名、ハッシュについて解説させていただきました。
Bitcoinはオープンソースのデジタル暗号通貨の一つである。流通が始まったのは2009年1月だが、ここにきて急激に関心が高まっている。 一般通貨と比べた時、Bitcoinの最大の特徴はそれを管理する中央機関を持たないこと。円の価値は日本政府の信用力に基づくが、Bitcoinの取引や発行はBitcoinのエコシステム全体で行われる。つまりBitcoinはそれ自体に価値があるという前提が必要で、これをユーザー間で共有できて初めて“通貨”となる。 Bitcoinのメリットは「P2Pでの送金が可能」「決済の際に事業主が負担する手数料が圧倒的に少ない」「チャージバックのリスクがない」などがある。政府など権力者が資産を没収したり口座を凍結したりするリスクは皆無だ。これに対し例えばユーロをみると、2013年3月に経済危機に陥ったキプロスに対する金融支援の条件として銀行預金への課税が持ち出された。 なお
MtGOXの取引所閉鎖を受けて日本ではBitcoinの将来に対する悲観論が高まっている。ところが他の取引所をみると対USDでみたBitcoin相場は閉鎖した25日午後3時過ぎには底を打って堅調に推移している。この現実をどう受け止めるべきだろうか?Bitcoinは10年前に流行ったSecondLifeのLinden Dollarsのように細々と好事家の間で使われるのだろうか?それとも政府から独立したグローバル通貨としての地位を確立するのだろうか。 Bitcoinが財貨の交換に利用され始めた2010年ごろ、その将来に対して多くの識者は懐疑的だった。アンテナの高いエコノミストは2009年ごろから存在を認識していたし、欧州でBitcoinに対する関心が高まったのは2012年の末ごろだったようだ。日本でも2011年春頃に開発者を招いての講演会を予定していたが、東日本大震災で流れてしまったこともある。
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