犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が11日、施行され、今後は捜査機関の運用が課題となる。供述中心の立証となるため、東京高裁裁判長を務めた門野博(かどのひろし)弁護士(72)は「冤罪(えんざい)の恐れが払拭(ふっしょく)できない」と懸念する。 (山田祐一郎) 四十年間裁判官として務め、主に刑事事件を担当した。思い出すのは、茨城県内の強盗殺人事件で男性二人が立件された「布川事件」。二〇〇八年、東京高裁裁判長として、二人の無罪につながる再審開始決定を支持した。
世論の大きな反対もないまま、着々と審議が進む「共謀罪法案」(テロ等準備罪法案)。しかしその危険性は、過去3度も廃案になった時から大きく変わっていない。 2017年4月25日には衆議院法務委員会で参考人質疑が行われた。参考人として意見陳述した京都大学大学院法学研究科教授の高山佳奈子氏は、「このような内容が不可解な法案にそのまま賛成するわけにはいかない」と述べ、法案に反対の立場から意見陳述した。 安倍総理は、「東京五輪開催を控え、テロ対策に万全を期すことは開催国の責務。国内法整備のためには法案成立が不可欠だ」などと述べ、共謀罪法案の必要性を繰り返し強調しているが、高山教授は総理の詭弁をことごとく論破していく。 「テロ対策についてはすでに立法的な手当がなされている。五輪招致決定後の2014年に改正された『テロ資金提供処罰法』の新しい条文により、テロ目的による資金、土地、建物、物品、役務その他の利
犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案は十九日、衆院法務委員会で本格的な質疑が始まった。政府・与党は東京五輪・パラリンピックを控えてテロ対策として法整備の必要性を強調。民進、共産両党は、対象となる「組織的犯罪集団」や対象犯罪の曖昧さを追及し、「一般市民も処罰される可能性がある」などと廃案を求めた。 (土門哲雄) 民進党の枝野幸男氏は、共謀罪の対象犯罪に著作権法違反(著作権侵害)が含まれていることを疑問視。日本音楽著作権協会(JASRAC)がピアノ教室などの演奏に著作権料を課そうとしている問題に触れ、音楽教室の人たちが「組織的犯罪集団」に当てはまりかねないと指摘した。 法務省の林真琴刑事局長が「著作権法違反という犯罪行為を行うために集まっていることを立証できなければ、共同目的が犯罪実行にある(組織的犯罪集団)とは言えない」と説明したのに対し、枝野氏は「そんなこと
犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案について、朝日新聞社が15、16日に実施した全国世論調査(電話)で賛否を聞いたところ、「賛成」が35%、「反対」33%と拮抗(きっこう)した。「その他・答えない」も32%にのぼった。 同じ法案について、朝日新聞は2月の世論調査で、政府が使用する呼称「テロ等準備罪」法案への賛否として尋ねた。この時は「賛成」44%で、「反対」25%を上回った。今回は「テロ等準備罪」の呼称を用いずに組織的犯罪処罰法改正案への賛否を聞いた。 性別でみると、法案に「賛成」は男性が42%で、女性の28%より高い。年代別では、若年層ほど「賛成」が多い傾向で、40代以下の4割が「賛成」し、「反対」を上回った。一方、60代以上では「賛成」が3割を切り、「反対」の方が多かった。 支持政党別では、自民支持層は「賛成」53%、「反対」18%。無党派層では
犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案の審議入りの時期をめぐって自民、公明両党が綱引きをしている。4月6日の審議入りを主張する自民に対し、公明は政府が先に提出した、性犯罪の厳罰化を盛り込んだ刑法改正案の審議を優先するよう求めているためだ。 両党の国会対策委員会幹部が顔をそろえた28日の会議で、自民の竹下亘国対委員長は「共謀罪」法案について「できれば4月6日に」と切り出したが、公明の大口善徳国対委員長は同意しなかった。3月29日の幹事長・国対委員長会談で引き続き協議することになった。 公明の井上義久幹事長は22日の幹事長・国対委員長会談で刑法を優先する方針を示し、自民側は聞き置く形になっていた。公明は性犯罪の被害者から強い要望があることなどを理由として挙げている。 しかし、自民は6月18日の会期末までに「共謀罪」法案の成立を図る立場から、提出した順番を入れ
安保関連法案・TPP関連法案に引き続き、組織的犯罪処罰法改正案が強行採決されるおそれ 2017年3月21日、組織的犯罪処罰法の改正案が閣議決定されました。 これにより、同法は今国会に提出され、審議されることになります。 このことにあまり関心のない国民も多いとは思いますが、行政関係者及び法律関係者の中ではかなり大きな関心事になっています。 なぜこの法案が大きな注目を集めているかというと、組織的犯罪処罰法の改正案にいわゆる「共謀罪」を創設する規定が盛り込まれているからです。 共謀罪とは? 「共謀罪」と聞いて、ピンとくるのは法律を学んだことのある方だけでしょう。 「共謀罪」というのは、「殺人罪」や「窃盗罪」のような独立した犯罪類型ではありません。 「共謀罪」というのは、「未遂罪」のように、他の犯罪行為に付随する犯罪類型です。 皆さんも、ニュースやドラマの中で「殺人未遂罪」や「強盗未遂罪」という言
共謀罪(テロ等準備罪)を創設する「組織犯罪処罰法改正案」の政府案が与党に提示されました。報道によると3月10日には閣議決定され、国会に提出される予定のようです。 政府案の全文の書き起こしテキストは下記の記事に掲載しています。 www.shigo45.com この共謀罪(テロ等準備罪)の問題点に関しては過去記事に書きました。そこで指摘した問題点の主なものは下記の通りです。 共謀罪新設の必要性(立法事実)はない。 1.2. 日本国内においてこれまでになかった新たなテロの現実的危険性は確認できない。 1.3. 現行法においても重大犯罪の準備行為について摘発・処罰は十分可能。 1.4. 国際組織犯罪防止条約は包括的な共謀罪(テロ等準備罪)の新設なしに批准可能である。 刑法の謙抑性・日本国憲法の思想・良心の自由に反する。 広範な監視・盗聴捜査を正当化し一般人の市民的自由を大きく制限する。 司法取引と
大阪・豊中市の「森友学園問題」の裏で、安倍政権が今国会への提出を目指している、組織的犯罪処罰法の改正案。官邸サイドはその必要性を強く訴えて続けていますが、メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』の著者・新 恭さんは、過去に3回も廃案となった「共謀罪」法の新設そのものであるとし、その条文から読み取れる危険性を指摘するとともに、安倍総理の口からまたも飛び出した「政治権力サイドの大ウソ」を白日の下に晒しています。 共謀罪…偽りのテロ対策 東京オリンピックをひかえてテロ対策が必要、国際組織犯罪防止条約を締結するため国内の法整備が不可欠…国民が「そりゃそうだ」と納得しそうな理屈をつけて、安倍政権は危険きわまりない法案を国会に提出しようとしている。 暴力団など反社会的団体が犯す罪の処罰内容を定める「組織的犯罪処罰法」の改正案がそれだ。 改正の中身は、「共謀罪」法の新設そのものである。共謀罪の法案といえば
治安維持法と共謀罪をめぐる答弁が恐ろしいほど一致している。(朝日新聞3/15) pic.twitter.com/kAEpbO0aAy — Tad (@CybershotTad) 2017年3月15日 政府が「共謀罪」の名前を「テロ等準備罪」と変え、「テロ対策だ」としているのに、法案には「テロ」という言葉がどこにもない。この批判を受けて政府が修正した法案では「テロリズム集団」との文言を入れたが、「その他」という言葉も付け加えており、拡大解釈の危険性は変わらない。添付は東京新聞。 pic.twitter.com/PqpBBn1Wmn — 丸山慎一 (@maruyama_sin1) 2017年3月8日 羽鳥慎一モーニングショー「そもそも総研」#共謀罪 pic.twitter.com/Wr3hCdwqqQ — YK #共謀罪 絶対反対! (@YK49150270) 2017年3月9日 今日のそもそ
犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」と趣旨が同じ「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案の対象犯罪の内訳が判明した。対象とするとみられる二百七十七の犯罪を「テロの実行」「薬物」など五つに分類。政府はテロ対策を強調しているが、「テロの実行」関連は百十で四割だった。 「テロの実行」に分類されているのは、組織的な殺人やハイジャックなどに関する犯罪。そのほか、覚醒剤や大麻の輸出入・譲渡などの「薬物」関連が二十九▽臓器売買や集団密航者を不法入国させる行為など「人身に関する搾取」二十八▽マネーロンダリング(資金洗浄)や組織的詐欺などの「その他資金源」が百一▽偽証や逃走援助などの「司法妨害」が九-となっている。
政府が創設を検討している「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の全容が二十七日、関係者への取材で明らかになった。政府はテロ対策を強調し呼称を「テロ等準備罪」に変更したが、法案には「テロ」の文言が全くないことが判明。捜査機関の裁量によって解釈が拡大され、内心の処罰につながる恐れや一般市民も対象になる余地も残しており、共謀罪の本質的な懸念は変わっていない。 (山田祐一郎) 本紙が入手した法案全文によると、処罰されるのは「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画」で、「計画罪」と呼ぶべきものとなっている。政府が与党に説明するために作成した資料では、対象とする二百七十七の犯罪を「テロの実行」「薬物」など五つに分類していたが、本紙が入手した法案全文には「テロ」の文言はなく、分類もされていなかった。特定秘密保護法で規定されているようなテロリズムの定義もなかった。 法案は、共同
トランプ米大統領の就任と同時に、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』が米国でベストセラーに躍り出た、と複数のメディアが報じている。 直接的には、大統領就任式に集まった人数についてスパイサー報道官が「史上最多」と虚偽発表をしたことが契機になったらしい。オバマ前大統領の就任式写真と比べても明らかに人数は少ないのに、この発表を擁護してコンウェイ大統領顧問が言い放った言葉が「もう一つの事実(オールターナティヴ・ファクト)」だった。 嘘を「もう一つの事実」と呼ぶ、この倒錯した「新語法(ニュースピーク)」が人々に「ビッグ・ブラザー」の支配する小説の世界を思い起こさせたようだ。 真実を書き換える 『1984年』は作家の出身地である英国や、米国では高校の課題図書となっていることが多く、日本よりも若い年齢で広く読まれている。 東西「冷戦」下で書かれ(日本の周辺では「熱戦」であったが)、社会主義国の一党独
「共謀罪」と趣旨が同じ「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、政府は、犯罪の合意に加えて処罰に必要な要素として検討している「準備行為」について、条文で「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」と規定する方針を固めた。「その他」の文言が盛り込まれることで拡大解釈が際限なく広がり、準備行為が歯止めとならないことが懸念される。 (山田祐一郎) 共謀罪法案は、犯罪に合意しただけで罰するのは内心の処罰につながるといった批判を受け、過去三度も廃案になってきた。安倍晋三首相や金田勝年法相らは今回、新たな共謀罪法案について「準備行為があって初めて処罰の対象とする」と過去の法案よりも適用範囲を限定する方針を説明。一方でハイジャックテロや化学薬品テロでは、現行法の準備罪や予備罪よりも前段階での処罰が可能になるとして、テロ対策での必要性を強調してきた。 新たに明らかになった条文では「犯罪を行う
今年の通常国会に提出される法案のうち、過去3回廃案となった「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案に注目が集まっています。政府は「テロ等準備罪」と名称変更して看板をかけかえましたが、骨格も内容も以前と大きな変更はありません。対象犯罪を676とした上で提出すると伝えられてきましたが、最近になって「対象犯罪が広すぎるので、絞り込む」という話題が出てきています。 私は、2005年から2006年にかけて、衆議院法務委員会で野党の一員として「共謀罪」をめぐる国会論戦を担いました。2005年は、小泉純一郎内閣が突然の郵政解散で圧勝した後で、自民・公明の連立与党は圧倒的多数の議席でした。「数の力」からすれば、その後3回も廃案となるという結果を予想したメディア関係者は皆無に近かった状況です。 ところが、国会で議論をすればするほどに、政府・法務省提出の共謀罪への疑問はふくらみ、自民・公明の与党側からも、たび
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