日本政府が米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)へと舵を切った。政府内で異論がある中での官邸主導の決断だった。外交当局や農業関係者から挙がる慎重論を官邸が跳ね返した狙いはどこにあるのか。元経産省米州課長の細川昌彦氏(中部大学特任教授)が、交渉の駆け引きを読み解く。(「トランプウオッチ」でトランプ政権関連の情報を随時更新中) 日本政府が米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)へと舵を切った。政府内で異論がある中での官邸主導の決断だった。慎重論は2つの勢力から挙がっていた。1つは、米国の神経を逆なでしないかを気にする外交当局。そしてTPPでの譲歩を免れてホッとしている農業関係者である。 伏線は2月の日米首脳会談にあった。共同声明で「日米二国間の枠組みの議論を行うこと」と「日本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進すること」が併記された。これが、米国との二国間の協議に