安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が、国家戦略特区の指定を受けた愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画をめぐって、国会で論戦が続いている。野党は「理事長と首相との個人的な関係が特区指定などに影響を及ぼしたのではないか」と指摘するが、政府は「便宜や忖度(そんたく)はなかった」と説明する。審議から浮かんだ論点をまとめた。 複数候補から絞り込み→地理的条件、後出し? 野党がまず問題視したのは、獣医学部をつくる事業者が複数の候補から加計学園に絞り込まれた経緯だ。 鳥インフルエンザの世界的研究機関を持つ京都産業大が政府のヒアリングに、京都府とともに21ページの資料を示して獣医学部設置構想を訴えたのは2016年10月17日。ところが、約3週間後の11月9日、首相が議長をつとめる政府の国家戦略特区諮問会議が、獣医学部の「空白地域」に限って新設を認める地理的条件を新たに