初めまして、井上真偽(まぎ)と申します。 このたびは「数理論理学」というエンタメには鬼門のような題材の作品でデビューさせて頂きました。メフィスト賞の懐の深さに大変感謝しています。と同時に、早くも不安に駆られています。こんな本文中で堂々と数式を展開する小説が、読者の皆様に受け入れてもらえるでしょうか……。 ただ、ミステリ好きなら誰しも一度は「論理学」という言葉の響きに魅かれたことがあるかと思います。そして試みに論理学の参考書を手に取り、数ページ読んで「あ、何か思ってたのと違う」とすぐさま棚に戻されたことと思います。そういった経験を持つ方たちには、是非本作をお読み頂きたいです。「こういう使い方をすれば数理論理学も推理に応用できる」といったアイディアや、「数理論理学で推理を分析するとこんなに気持ちいい」といった知的爽快感を、作品にはたっぷり詰め込んだつもりです。 また数学嫌いな方には、本作は地雷