筆者の初のSF短編集。2010年代各所で発表された作品8編*1と書き下ろし1編を収録している。 あとがきで作者自身が述べているが、前半と後半とで作品の雰囲気というか作風がずいぶんと違っている。前半の5編は設定やプロットがちゃんとあるが、後半4編は、奇想というかナンセンスというかそういうものになっていく(うち1編は話の内容そのものよりもタイポグラフィが主眼になっているし)。 正直、前半の方が好きだし、後半はよくわからんのだが、しかし「生首」はわからんなりに結構面白かったりする。表題作である「あなたは月面に倒れている」なんかも全体的にはなんだかよく分からないのだけど、個別の文章は面白いし。 前半で収録されている作品は、スパムが歩いてやってくる「二本の足で」だったり、アトミックパンクの「トーキョーを食べて育った」、猫としりとりをする「おうち」だったり、その惹句やタイトルがわりとコミカルで軽い感じ