はじめに 本ノートは、音楽のプラトン主義的な音楽作品の存在論において前提とされている「完全な対応の条件(PCC: Perfect Compliance Condition)」に対して歴史的批判を加えることで、それが成立しないことを示す、ジョン・ディックの「音楽の歴史および音楽の存在論における完全な対応」*1のまとめである*2。 2017年9月1日追記:校正し、PDFにまとめました。ご利用ください。 https://drive.google.com/open?id=0BzXV4zzUSBO_SWRfOWhVbnFGc00 Abstract 西洋クラシック音楽の演奏は基本的に完全な対応(perfect compliance)の理想:音楽作品を演奏するためには、演奏者はその作品の楽譜にあるすべての音を、逸脱することなしに、演奏しようと意図しなければならない、を必然的に伴うのだとする一般的な前提が