ヒューゴー賞、ローカス賞、ネビュラ賞の三冠を受賞した表題作を含むSF短編集 作者のバトラーは、1947年生まれで2006年に亡くなっており、本書も原著は1995年に刊行されている。長編が一つ邦訳されているが、日本ではほとんど紹介されてこなかった作家だという。 ごりごりの(?)SF作家だし、本短編集も基本的にSFだが、比較的SF色の薄い作品もある。また、翻訳者もSF畑の人ではない。アフリカ系アメリカ人女性のSF作家であり、ある種の文学的評価というのもあるのかもしれない。 なお、話ごとに筆者自身の短いあとがきがついている 「血を分けた子ども」と「恩赦」が特に面白かった。 どちらも、異星人に支配されてしまった地球人を描いているのだけれど、そこでの異星人と地球人との関係は、単純に敵対や隷属ではなくて、何らかの信頼や愛情があり、共存・共生の可能性が模索されていて、逆に、地球人同士の方に不信があったり