正義はどう論じられてきたか 相互性の歴史的展開 著者:デイヴィッド・ジョンストン 出版社:みすず書房 ジャンル:社会・時事・政治・行政 正義はどう論じられてきたか―相互性の歴史的展開 [著]デイヴィッド・ジョンストン 正義とは何か。アメリカの哲学者ジョン・ロールズの多大な影響の下に、近年では正義は、ある社会全体での富の正しい分配の仕方として論じられてきた。これに対してジョンストンは、歴史をひもとけば、正義論の主要なテーマは、個人と個人の関係の相互性にあったと主張する。 古代メソポタミアに始まる正義論では、平等な者の間では等しい交換が、不平等な者の間では等しくない交換こそが正しいとされていた。平等者間では、功績には、それに比例して報酬があり、罪には応報があるものとされた。 著者によれば、古代ギリシャなどをへて受け継がれていた流れを決定的に断ち切ったのが功利主義である。功利主義者たちは社会全体