作家の佐藤優氏と思想史研究家の片山杜秀氏が「平成史」を語り合うシリーズ。今回は、東日本大震災以降、政権によって起きた変化について語り合った。 佐藤:2011年は平成史、いや日本現代史の分岐点と言える3.11が起きた年です。 片山:菅内閣の危機対応をどう評価されていますか? 佐藤:私は、あの状況下でよくやったのではないかと評価しています。また大いなる逆説でもあるのですが、もしも自民党政権だったらオールジャパンで協力していく体制は作れなかった。民主党が野党なら自民党政権が続けた原発政策の非難に終始したでしょう。政争にエネルギーを割いたはず。ところが、政権交代で攻守が逆転していた。原発を推進してきた負い目から自民党は民主政権を攻撃できない。だから菅内閣は事故対応に力を注げた。 片山:菅さんは「イラカン」なんて揶揄されましたが、3.11を1945年の8月15日以来の非常事態だと認識していた。だから