最高に面白い、の一言に尽きる。笑って読める「未開の地見聞録」でありながら、政治学の文献としても読める。なぜソマリアでは内戦が続いているのか、そしてソマリア北部・ソマリランド内では、なぜ内戦が終結して武装解除ができたのか、しかも国連やアメリカの介入を拒絶したのになぜ民主制に移行できたのか、などの重要なテーマについて、現地での取材を基にした日本で唯一の文献なのである。しかも、他国からの介入がなかったから民主制に移行できたのではないか、という興味深い視点も提供している(詳しくは後述)。 さて、本書によれば、基本的に、ソマリアでは民族同士の紛争はないのだという。あるのは、同じ民族の中の氏族同士の争いなのだ。それは、日本でもあった源氏VS平氏の争いみたいなものである。そして、民族VS民族の争いではないせいか、一方が一方を滅ぼしつくすまで戦う、ということにはならず、そのうち手打ちすることで、紛争はいっ