日本のお坊さんをテーマにした映画が、あいちトリエンナーレの映像プログラムを皮切りに、今秋、日本とフランスで順次全国公開される。全国曹洞宗青年会が企画し、富田克也監督が製作した映画『典座 -TENZO-』だ。 同作は今年5月のカンヌ国際映画祭の批評家週間で特別招待部門に選出。カンヌ市内の劇場で開かれた公式上映では木蘭色の袈裟姿の僧侶たちが壇上でフラッシュを浴びた。 物語は2人の実際の僧侶が主演を務め、フィクションとノンフィクションを織り交ぜながら進んでいく。1人は山梨の寺で両親と妻、重度の食物アレルギーを抱える3歳の息子と共に暮らす智賢(ちけん)。電話相談、精進料理教室、ヨガ座禅といった地域活動を意欲的に行なっている僧侶である。 もう1人は福島に住む僧侶・隆行(りゅうぎょう)。 東日本大震災の津波で寺が流された本堂再建を諦めきれずも、今は僧侶ではなく、がれき撤去の土木作業員として、仮設住宅で