近時の裁判例からみる著作権法[第1回] 音楽教室事件からみる侵害主体論(前編) 法律事務所LAB-01 弁護士・弁理士 北島 志保 氏 本連載では、ビジネスに役立つ著作権法上のホット・トピックスをわかりやすく紹介します。第1回から第2回は、令和3年3月18日に知財高裁判決が出た注目の裁判例として、音楽教室事件(前編・後編)を取り上げます。 はじめに 音楽教室事件は「音楽教育のためのレッスンなのに著作権侵害になるのか?」という観点でも注目されていますが、著作権法上は「著作権の侵害主体性」という重要なテーマが争点となっている点で重要です。侵害主体性の問題は、「ユーザーによる著作物の利用行為について、サービス提供業者が著作権侵害の主体として責任を負うのはどのような場合か?」という、音楽教育業界のみならず著作物利用を伴うサービスを提供する事業者一般に影響しうる問題です。 何が問題なのか? 今後のビ