認知症男性(当時91歳)が 徘徊 ( はいかい ) して列車にはねられた事故を巡り、JR東海が男性の遺族に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日、家族の責任を認めて賠償を命じた1、2審判決を破棄し、JR東海の請求を棄却する判決を言い渡した。 遺族側の逆転勝訴が確定した。 判決によると、愛知県 大府 ( おおぶ ) 市の男性は2007年12月、当時85歳だった同居の妻(93)がうたた寝をしている間に外出。JR東海道線の駅構内で列車にはねられ死亡した。JR東海は10年2月、男性の妻や長男(65)らに計約720万円の賠償を求めて提訴した。 1審・名古屋地裁判決は、長男の監督義務と妻の過失をそれぞれ認定し、2人に全額の賠償を命じた。2審判決は、妻のみに監督義務を認めたが、「相当に充実した介護態勢を構築していた」などとして賠償額を約360万円に減額した。