大正時代の日本家屋。浴衣姿でひらりと現れた塩野瑛久は、息をのむほど美しかった。 趣のある縁側に腰かけ空を仰ぐ横顔も、庭で静かに佇む姿も、無邪気にスイカを頬張る笑顔さえも美しい。しかし、それ以上に魅せられたのは――時折見せる、ここではないどこか遠くを見つめているような彼の眼差しだ。 昨年は、映画『HiGH&LOW THE WORST』の小田島有剣役で人気を博した塩野。しかし「もっとセリフが欲しい、もっと演じてみたい」と、役者として貪欲に求め続けてきた彼は、いまだ満たされることはない。 いつもモヤモヤしていて、気持ちの落としどころがないと語る彼は、苦しそうでもあり、楽しそうでもあった。撮影/曽我美芽 取材・文/とみたまい 制作/iD inc. スタイリング/山本隆司 ヘアメイク/時田ユースケ 衣装協力/Robe Japonica 「浴衣男子2020」特集一覧女性の浴衣は華やかさより、“上品な悪