前回の続編となるこの原稿を書こうと思いパソコンを立ち上げた2019年5月16日、偶然にも「ダニに刺されて東京都内の男性が重症」というネットニュースが飛び込んできました。今回と次回で、野原や山に生息するダニに刺されて発症する合計八つの感染症を取り上げます。その八つのなかで、ワクチンもなければ治療薬もない最も厄介な感染症が、この都内の男性が感染した「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)です。 ダニに刺されて発熱や嘔吐、下痢をする「SFTS」 SFTSは比較的新しい感染症です。厚生労働省は13年に「12年秋に国内初の患者が出て、死亡した」と発表しました。 ◆13年の厚労省の発表文 感染すると熱や嘔吐(おうと)、下痢などの症状が出ます。これまでに西日本を中心に400人以上が感染し、60人以上が死亡しています(19年5月現在)。東京都での報告は今回が初めてです。※編集部注 血を吸って体が膨らんだマ