「ベルサイユのばら」「オルフェウスの窓」などのヒット作を生み出した人気漫画家でオペラ歌手としても活躍する池田理代子さん(71)は一昨年11月に拠点を東京から熱海に移し、漫画の執筆、歌のレッスン、オペラ制作などに取り組んでいる。「お金を持ってあの世には行けないし、ぜいたくをして暮らすつもりもない」と私財をオペラを上演する費用に注ぎ込み、若い才能の育成に精を出す。そんな池田さんに幼年期からの生い立ちや漫画家を目指した経緯、声楽家への転身、オペラ制作などについて前半・後半の2回に分けて振り返ってもらった。 ――なぜ拠点を東京から熱海に移したんですか。 「東京・原宿に借りていた自宅兼アトリエのマンションの家賃が大幅に値上がりすることになったためです。引っ越しを検討したんですが、驚いたことに都内で私くらいの年齢の独身女性に新たに部屋を貸してくれるマンションはあまりないですよ。以前から熱海のマンション