堅い経済記事が並ぶ日経新聞の中で異彩を放つ林真理子氏の官能連載小説。毎朝、男女の艶めかしい情事が掲載されている。なぜ今この新聞小説が、多くのビジネスマンを惹きつけるのか。その魅力を探る。 朝から心拍数が上がる 現在、日本経済新聞の朝刊で連載されている小説『愉楽にて』をご存知だろうか(連載開始は9月6日)。 作者は『不機嫌な果実』などで知られる林真理子氏。女流作家の大御所である林氏が、男女の情事を生々しく描くこの連載が今、話題を呼んでいる。その一節をひこう。 〈「君のここが待っているからさあ……」 久坂はすばやくワンピースの裾をめくり上げた。女は両脚を少し開けて立っていたため、その間にすぐに指を置くことが出来た。中指を往復させる。絹の薄い下着だったので、亀裂をなぞることはたやすかった。 (中略)由希はこらえきれずに、傍のソファに倒れ込んだ。三十八歳の彼女は指だけであっという間に達してしまう〉