第3章■作曲家という仕事 ♪次に「作曲家」という職業について詳しくお聞きしたいんですが。まず、えーと、作曲家というのは…職業…ですよね? うーん、あまり自信はありませんね(笑)。作曲家になってからもうかれこれ25年ほどになりますけど、いまだに「職業」を「作曲家」と言い切るのにはどうも抵抗があります。はっきり言って「作曲家」と言うのは、働いて、報酬をもらうという正しい意味での「職業」ではないですからね。 ♪そうなんですか? 同じ音楽家でも、「演奏家」は職業として分かりやすい。1回コンサートで演奏すれば「出演料」が収入になりますからね。そして、有名になり人気が出ればその「金額」が高くなり、たくさん演奏すればその分だけ収入は多くなる。「仕事」と「報酬」の構図がハッキリしているわけです。でも、作曲家にはそれがない。 ♪でも、曲を書いて報酬をもらっているわけでしょう? いや、もちろんポップス
被爆二世、独学で音楽を学んだ全聾の天才作曲家と謳われた佐村河内守氏のほぼ全作品が、実際には桐朋学園大学の講師を勤める現代音楽作曲家・新垣隆氏の手になるものだった、という衝撃的な事件が世間を賑わせている。これに関連して、少し自分の思うところを書いておきたい。 メディアや音楽出版社のあり方、またはポリティカル・コレクトネスについての議論はほかに譲るとして、音楽そのものについての話になる。今回の事件はかなり根源的な問題まで浮き彫りにした、というのがもっぱらの認識のようだ。人は音楽にいったい何を聴き、何を根拠に評価しているのかということ。また純粋に音楽を聴くのはいかに難しいかということ。そんな問題についてだ。ここで私は、純粋に音楽を聴くことなど不可能であるのは当然として、そんなことを目指す必要さえない、という主張を述べたいと思う。 私が初めて佐村河内氏の名前を知ったのは昨年、おそらく例のNHKスペ
ポール・マッカートニー、言わずと知れたビートルズの一員である。 そしてこの「リヴァプール・オラトリオ」は、ビートルズが解散して21年後(1991年)にポールが初めてクラシック作品に挑戦した記念すべき作品である。 ポールは元々、多種多様な才能を持っている作曲家だが、これ以降「クラシック」というカテゴリーでも「スタンディング・ストーン」「ワーキング・クラシカル」「心の翼」といったアルバムを発表していくことになるのだから「リヴァプール・オラトリオ」がいかにマイルストーン的な作品かおわかりいただけるだろう。ちなみにこのジャンルでの最新作は、昨年2011年リリースされた「オーシャンズ・キングダム」で、ポールがNYCB(ニューヨーク・シティ・バレエ)から依頼された「バレエのためのオーケストラ作品」である。 なぜポールはロック・ミュージシャンでありながらこのようなクラシック作品までリリースするに至ったの
まず、僕はこの「入門」なるコンセプトに問題があると考えています。こういう入門書や入門CDは、パッヘルベルのカノンやバッハの管弦楽組曲第二番(いわゆるG線上のアリア)等、大概耳触りのよい甘い音楽で脇を固められていて「ほらほらほら〜クラシックって難しくないですよ〜」とニタニタしながら寄ってくるのですが、僕だってこんな甘い音楽ばっかり連続で聴かされたら辟易しちゃいます。デザートだけで固められたフルコースの料理みたいで聴けたもんじゃありません。 ということで、クラシックを教えてほしい、という友人には最初っから、音楽学的にも音楽史的にも重要性の高いド真ん中の音楽から聴きなさいとアドバイスしています。それで問題なく皆さんクラシックの宇宙を自然に泳ぎ始める。考えれみれば、ロマン派以降から近代クラシックで用いる様なテンションの高い和音は、ジャミロクワイやMisiaが使いまくっているコードとほとんど同じなわ
→紀伊國屋ウェブストアで購入 アジア人にとって、西洋音楽であるクラシック音楽は特異なものではない。日本の環境もそうであるように、若者は西洋音楽の中で生まれ、育ち、教育される。彼らにとっての音楽は西洋音楽なのだ。そうした環境の中、音楽にのめりこみ、もっと上手になりたい、と願う者が出現するのは当然だろう。そのためにクラシック音楽の生まれ故郷であるヨーロッパ、あるいは“西洋人の国”であるアメリカその他の国々に留学することには、それなりのメリットがある。ただしその実現には才能とともに経済力も必要で、かつては日本、その後に台湾、韓国、そして近年では中国から数多くの留学生が渡航するようになっている。それと並行してシンガポールをはじめとする東南アジア地域でも、クラシック音楽の勢いは以前にも増して強まっているように見受けられる。 こうした教育を享受するためには、家族のサポートが欠かせない。専門職としてのス
〈音楽の国ドイツ〉の系譜学 1 〈音楽の国ドイツ〉の神話とその起源 ルネサンスから十八世紀 芸術 吉田 寛(著) A5判 232ページ 並製 定価 2600円+税 ISBN978-4-7872-7328-4 C0373 品切れ・重版未定 奥付の初版発行年月 2013年02月 書店発売日 2013年02月20日 登録日 2013年01月17日 紹介〈音楽の国ドイツ〉というイメージが誕生する前、ドイツ人が非音楽的民族と呼ばれ周辺国から蔑視されていたルネサンス期を始点に、ドイツの「国民音楽」創設を目指したドイツ語オペラ運動が盛衰する18世紀前半までを追い、〈音楽の国〉神話の起源を明視する。 目次凡例 巻頭言 シリーズ「〈音楽の国ドイツ〉の系譜学」刊行にあたって 序章 〈音楽の国ドイツ〉の神話といまどう向き合うか 1 〈音楽の国ドイツ〉という神話――「最もドイツ的な芸術」/「最も音楽的な国民」
音楽史には、超絶技巧で名を馳せた伝説の演奏家たちがいる。 ヴァイオリンのパガニーニ、ピアノのリストはその双璧。「悪魔に魂を売った」と言われるほどの名技で聴き手を熱狂させたと伝えられる。 ただし、現代の若い演奏家たちの物凄いテクニックを聴くたびに、「演奏テクニックだけを比べたら、現代の若者たちの方が上なのでは?」と思うことが少なくない。 なにしろチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲を始めとする多くの有名コンチェルトは、作曲当時の巨匠たちから「難しすぎて弾けない」とお墨付きをもらったはずの難曲。しかし、現代の若者たちは(特に音楽専門でない高校生でも)普通に弾きこなす。 最近では、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番など、当時は(2m近い大きな身体と12度を軽く抑えられる巨大な手を持つ)ラフマニノフ以外の人には弾けなかった超難曲&大曲を、若いピアニストが弾きこなすようになっていて、感心
クラシックコンサートでバイオリン演奏中に携帯電話が鳴るもバイオリニストの行動で場が盛り上がる!!機転を利かせたバイオリン奏者がカッコイイ!! Tweet クラシックコンサートの最中に、観客の携帯電話が鳴ってしまい着信音によって演奏が台無しになってしまいます。しかし、バイオリン奏者が機転を利かせてある行動をとったことで、逆に場を盛り上げてしまいました。なかなかスマートでカッコイイバイオリニストのひらめきと高い演奏技術をご覧ください。 順調に演奏が進んでいるクラシックコンサートですが、観客席から携帯電話の着信音が聞こえてきます。この着信音によって演奏は中断し、せっかくの雰囲気が台無しになってしまいました。しかしバイオリニストは機転を利かして、今聞いたばかりの着信音をバイオリンで弾き、さらにアレンジを加えて素晴らしい曲に仕上げてしまいました。これには、ガックリとしていた観客からも笑い声が漏れ、演
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