山あいの小さな集落では、鳥獣害対策に頭を悩ませることが多い。自家消費のために小さな農園を営んでいるような家庭も多く、売り物を作る農家のように積極的に防護策にコストや手間を投じたがらないという事情もある。そうした地区のひとつ、島根県益田市二条地区。山口との県境にある益田市の中山間部にある小さな集落だ。ここもイノシシやサル、シカの被害に悩まされていたが、猟師と地域住民が協力し、情報共有を進めることで効果的な対策を展開しているという。同地区を訪ね、話を聞いてきた。 被害がなければイノシシもサルも害獣ではない 筆者が話を伺ったのは、益田市二条地区に住む竹田尚則さんだ。本業は測量士で、2000年に同地区に事務所を構えて開業している。祖父の代から猟師で、竹田さん自身も狩猟に必要な免許や道具を持ち、実際に猟に出ることもある。多くの猟師が獲物を自家消費するが、竹田さんは食肉処理業と食肉販売業の許可も得てお