ヒグマは秋に川を遡上するサケを大量に食べるとみられていたが、知床のヒグマは意外にサケを食べず、栄養源に占めるサケの貢献は5%程度に過ぎないことを、北海道大学大学院農学研究院の森本淳子准教授らが詳しい食性分析で突き止めた。最もサケを利用しやすい知床の結果だけに「衝撃的」と受け止められている。京都大学生態学研究センターの大学院生の松林順さん、北海道立総合研究機構環境・地質研究本部の間野勉課長、ニュージーランド・マッセー大学のAchyut Aryal研究員、北海道大学大学院農学研究院の中村太士教授との共同研究で、クマ類に関する米科学誌URSUS(今年12月発行)に論文を掲載する。 北海道にはヒグマとサケが共存している。サケが海から運ぶ窒素やリンといった元素は陸の動物にとって貴重な栄養源となる。研究グループは、ヒグマによるサケの利用がどのような条件で変動するかを調べるため、知床半島を対象に安定同位
鳥類の脳の奥深くで、神経細胞が光を直接感知して、恋の季節である春の訪れを知る光受容器を備えていることを、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所の吉村崇(たかし)教授と中根右介(ゆうすけ)博士らが見つけた。目とは異なる光の感知システムが繁殖活動に関連することを実証する研究として注目される。7月7日付の米科学誌カレントバイオロジーに発表した。 哺乳類以外の脊椎動物が脳深部で光を感じることは100年以上前から知られていたが、脳深部の光受容器の実体は謎だった。今回、研究グループはウズラの脳深部に存在する「脳脊髄液接触ニューロン」が光に応答することを突き止めた。他の神経細胞からこの神経細胞への入力を遮断しても、光に対する応答性は消失しなかったため、直接光を感知していることがわかった。 この神経細胞の細胞膜には、「オプシン5」という光受容タンパク質が発現している。オプシン5の働きをRNA干渉法
生物は多様である。雌の多様性と雄のセクハラの軽減が生物種の繁栄にとって鍵を握ることがわかった。アオモンイトトンボの雌の色彩多様性が集団の繁栄の程度(増殖率や密度、安定性など)を高める傾向があることを、東北大学大学院生命科学研究科の高橋佑磨(たかはし ゆうま)助教と河田雅圭(かわた まさかど)教授らが野外での観察と実験、数理モデルで検証した。 生物を繁栄させるのには、見た目の多様性と、それに関連したセクハラの抑制が重要であることを裏付ける研究として、進化や生態学の教科書に載るような新発見といえる。東邦大学の大学院生の香川幸太郎さんと、スウェーデンのルンド大学のエリック・スベンソン教授との共同研究で、7月18日の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。 アオモンイトトンボは体長3、4センチとやや小型のごくありふれたトンボで、5、6月に本州以南に出現する。その雌には、体の色彩
自然界に存在しない遺伝子情報を生命体に書き込む。 15年間の研究の結果、人工のDNA素材を含む生きた細胞を作る実験が世界で初めて成功しました。これによって、オンデマンドで新薬を作ることや、全く新しい生命体を創造することも可能になる、そんな夢のような世界が一歩近づきたってことでしょうか。 地球上の生命体はつねに4つのDNAパーツ(ヌクレオチド)からできていて、それらはA、T、C、Gという4つの文字で表現されています。が、今回の実験ではそこに新たなふたつのパーツ、「d5SICS」と「dNaM」を追加することに成功したんです。 「我々が手に入れたのは、従来より多くの遺伝子情報を保持できる細胞です」こう語るのは、15年間研究を率いてきたFloyd Romesberg氏です。彼は実験で、自然のDNAパーツに人工パーツを追加した人工DNAを作り出し、それを微生物に対し副作用を起こすことなく組み込みまし
(CNN) 巨大な鳥のような姿をした新種の恐竜の化石が見つかったとして、米カーネギー自然史博物館などの研究チームが19日の米科学誌プロスワンに発表した。恐竜はシュメール神話に登場する羽の生えた悪魔にちなみ、「地獄のチキン」を意味する「アンズ・ワイリエイ」と命名された。 この恐竜は体長約3.5メートル、鳥のようなくちばしと羽を持ち、頭にはとさかが生えている。長くて固い尾を持ち、大きな手の先には鋭い鍵爪。映画「ジュラシックパーク」で有名になった恐竜のベロキラプトルとダチョウの中間のような姿をしているという。白亜紀に生息し、植物や小動物を餌にしていたとみられる。 カーネギー自然史博物館とスミソニアン研究所の研究者は当初、1990年代にサウスダコタ州で見つかった2体の化石について調べていたが、2005年にカナダで開かれた学会で、ユタ大学の研究チームが発表した化石が同じ種のものとみられることが判明。
犬といえば、長い間人類とともに過ごしてきた親友だ。そんな犬の始まりをゲノム解析によって探ったレポートが、専門誌『PLOS Genetics』に発表された。遺伝子研究には縁のない人にも、犬好きなら思わず興味をひかれるような結果が書かれていたので皆さんにご紹介したい。 新事実その1)犬と人間が共に暮らすようになったのは、1万1000~1万6000年も昔 これは人間が農耕を始める前のこと。犬と人間が一緒に暮らすようになった当初、人間は狩猟文化だったのだ。犬と人間が暮らし始めた時期については、「人間は狩猟をしていた」派と「農耕をしていたはずだ」派に専門家の意見も分かれていた。犬の持つでんぷんを消化する酵素であるアミラーゼをコードする遺伝子(AMY2B)は、人間と暮らし始めたときには、農耕が行われていた証拠だと思われていたのだ。ちなみにディンゴやハスキーにこの遺伝子はない。 新事実その2)当時人間と
2013-08-12 オスの第三の足が求愛に必要な動物 ScienceShot: Spider Sex Depends on a Third Set of Legs | Science/AAAS | Newsより。ホント、Scienceのサイトはこういうの好きだよねー。Eupalaestrus weijenberghiというタランチュラ。和名見当たらず。 photo by GollyGforce, on Flickr 第三の脚、婉曲的な言い回しじゃなくて8本足のうちの3つ目の一組のことです。やれやれ。 論文はhttp://www.bioone.org/doi/abs/10.1636/Hi11-58.1。Journal of Arachnologyって「クモ学」。そういうジャーナルもあるんだねえ。サイト内にgoogle翻訳が埋め込まれているので、日本語にしてみると論文タイトルは、 脚の
面白がる力って結構大事なことで、なんにでも好奇心を持ち、前のめりになりながらも果敢に探究していくことでしか見えないものがある。そんな風に常々考えていたわけだが、実際に何かを探索するという行為が脳の形成を促進し、冒険が各自の個性を作るとする研究結果を9日、ドイツのチームが米科学誌サイエンスに発表したそうだ。 研究チームでは、この発見が精神疾患の治療に新たな道を開くかもしれないと期待している。
栃木県佐野市葛生化石館は2日、葛生地区の石灰岩地層から、約2億7000万年前の古生代ペルム紀に生息していた腕足動物の一種、クーペリナ属の化石が見つかったと発表した。 化石館によると、クーペリナ属の化石発見は国内では初めて。1960年代には米テキサス州西部でも発見されており、化石館は、葛生一帯がかつてテキサス州近くにあったとする説を補強する発見としている。 佐野市葛生化石館によると、腕足動物は古生代に繁栄した海の生き物で、2枚の殻がある。貝にも似ているが、それぞれの殻の大きさが異なる。その中で、クーペリナ属は熱帯性の浅海に生息したとされ、大きさが微小であるのが特徴だ。 昨年夏頃、化石に詳しいマニアが石灰岩の塊を化石館に持ち込み、田沢純一・新潟大名誉教授の協力を得て調査を進めてきた。その結果、塊から計13個体を発見した。大きさは約2~2・5ミリだった。 クーペリナ属は1966年にテキサス州西部
By Rick Eh? 過去数十年にわたり実験用マウスは病気や怪我を研究するために人間の代用として用いられてきました。しかし、敗血症に関してはマウスを用いた実験が誤った結果を導き出してきた可能性がある、とニューヨークタイムズが報じています。 Health Testing on Mice Is Found Misleading in Some Cases - NYTimes.com http://www.nytimes.com/2013/02/12/science/testing-of-some-deadly-diseases-on-mice-mislead-report-says.html 同紙によれば、マウスによる実験が全ての人間の病気の研究に役に立たないわけではないものの、免疫系に関わる病気については厄介な問題を含んでいるとのこと。米国科学アカデミー紀要に発表された論文はマウス実験に基
人間はみなバグだらけ。完璧な人間なんていないことが遺伝子解析で証明される2012.12.26 12:3015,201 satomi 「完璧な人間なんかいないさ」と人を慰めることありますけど、あれって本当だったのね! 英ケンブリッジ大学が179人のヒトゲノムを解読してみたら、本当に完璧な人間がひとりもいないことがわかりました! DNAには欠陥があって無害なものもあれば病気となって現れる場合もある...というのはみなさんもご存知だと思いますが、「平均的な人間はどれぐらいの欠陥を持ってるものなのか?」という部分はこれまで曖昧なままでした。 ケンブリッジ大学のクリス・タイラー-スミス(Chris Tyler-Smith)博士はNPR放送にこう話してます。 「これは非常に面白い問題ですね。長年、間接的なアプローチによる推定の試みはなされてきました。重病が絡む変異体の推定数は、ほんの一握りしかないとい
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