情報通信研究機構(NICT)が宇宙と地表との間の衛星量子通信に成功した。衛星量子通信が実用化すれば、大陸をまたがるような長距離の間で「絶対に破られない」強固な暗号通信が可能になる。国家レベルで研究に取り組んでいるところもある中で、今回の成功はNICTを中心とする日本の研究者が長年地道に開発を進めてきた成果が実を結んだといえる。 足かけ20年の成果 量子通信では、光の最小単位である「光子」を使って通信する。光子とは光を含む電磁波を構成する素粒子を指す言葉で、波と同時に粒子としてふるまう「量子」としての性質を持つ。この光子単位で制御することで、これまでの光通信を超える未来の通信が実現できる。 例えば、今の光は何十万個という大量の光子が集まって一つの光波形を構成している。この一つひとつの光子に1と0の情報をもたせられれば、はるかにエネルギー効率の高いデータ伝送が可能になる。 また、光子を抜き取っ