みずほ証券が東京証券取引所(東証)に対して約415億円の損害賠償を求める訴訟を起こしたのは、2006年10月27日のこと。そのきっかけは、みずほ証券が2005年12月8日にジェイコム株を誤発注したことだった。誤発注の直後に取消注文を出したにもかかわらず、東証が運営するITシステムのバグによって損失が拡大したとして、みずほ証券は売却損とその他諸費用の賠償を東証に求めた。 それから10年近くたち、2015年9月3日に終結。東証に約107億円の支払いを命じた東京高等裁判所の判決が確定している。 ソフトウエアのバグは重過失に当たるのか――。争点はこれである。裁判の行方を最初に詳しく報じたのは、日経コンピュータ2007年4月30日号の記事「誤発注裁判で見えてきた不具合の真相」(大和田 尚孝=日経コンピュータ)。その内容を全文公開しよう。 運用テスト工程で追加した条件分岐の記述ミスの可能性が高いーー。