自分が亡くなった後、子は暮らしていけるのだろうか――。高齢の親が、中高年のひきこもり状態の子と暮らす「8050(ハチマルゴーマル)問題」に直面する親たちの、切実な悩みです。関西地方の80代の母親は、自らを責めつつ、何とかしようと奔走しています。〈扉の向こうで〉 ◇ 朝起きて、夜寝る。一日三食。きれい好きで、掃除や入浴もする。散髪には一人で行く。コメなど重いものが必要な時はスーパーに行ってくれる。ただ、日中の大半は書斎のパソコンでゲームやネットサーフィンをして過ごす。 この母の、10年以上ひきこもり状態にある50代の息子のことだ。都市部の一軒家で同居している。夫は約10年前に他界した。 「勤め人なら定年に差し掛かる時期やね。そんな年で仕事を始めるのは難しいと思うけれど、何とか独り立ちをしてほしいわ」 母は大学を卒業後、国家資格を生かして70歳まで働いた。姿勢が良く、はきはきと話し、年齢を感じ