東京電力福島第1原発事故で、2号機原子炉内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しが、大幅な計画見直しを迫られつつある。取り出し試験用に開発したロボットアームが、現場で使えない恐れが出てきた。事故収束で最難関とされる作業は、準備段階で「想定外」の壁にぶつかった。(渡辺聖子)
東京電力福島第1原発の多核種除去設備(ALPS)を視察する岸田文雄首相(左)=福島県大熊町で2023年8月20日午後0時42分(代表撮影) 東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出に向け、岸田文雄首相が20日に同原発を視察するなど政府による準備が着々と進められている。一方、漁業関係者らからは「地元への説明はないのか」「ごり押しだ」と反発の声が聞かれた。地元の不安を解消しないまま放出は断行されるのか。 視察を終えた首相は記者団に「海洋放出は廃炉と福島の復興を進めていくために決して先送りができない課題だ」と強調した。 だが、視察先は第1原発敷地内で、意見交換も東電幹部と行ったのみ。地元の漁業者らの話を聞くことがないまま帰途に就いた。
国と東京電力は、福島第一原発(以下、「第一原発」)に溜まるトリチウムなどの放射性物質を含む「処理水」の海洋放出を計画している。8月下旬にも放出が始まるとみられていて、その安全性は、国際基準にも合致しているとIAEA(国際原子力機関)からお墨付きが得られている。“廃炉には欠かせない処理水の海洋放出”だが、放出によって“福島の魚を敬遠する風評被害が生じる”のではないか…漁業者や、計画を進める国の担当者はこうしたジレンマを抱えながら放出計画の行く末を注視している。福島の漁業を守るために何が必要なのか。課題の解決策を探った。 福島から考える原発再稼働 福島の教訓は?柏崎刈羽原子力発電所を取材 「今年のホッキ(貝)は身入りが良いなぁ」。漁を終え船からずっしりと重いホッキ貝を四倉漁港へ水揚げするのは、福島県いわき市の漁師佐藤芳紀さん(64歳)と文紀(あやのり)さん(33歳)親子。“常磐もの”のホッキ貝
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く