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ブックマーク / jun-jun1965.hatenablog.com (19)

  • 小杉健治「絆」アマゾンレビュー - jun-jun1965の日記

    小谷野敦 5つ星のうち5.0 泣ける 2015年2月13日に日でレビュー済み 「泣けるを教えて下さい」とか言うやつがいるのを見て、そういうの探し方をするんじゃねえと思ったが、これは泣く。下町で育って美貌ゆえに玉の輿に乗った女性は、夫殺しの罪で起訴された。語り手の記者は、幼い頃同じ町内に住んでいたから、あの女性が殺人を犯したとは信じられず法廷に臨む。来の弁護士に代わって立った原島弁護士は、彼女の過去を容赦なく暴いていく。推理作家協会賞受賞作。直木賞では、文章が荒いとかで落とされたが、こういう作品に直木賞をとってほしいんだよなあ。

  • 21世紀の純文学小説10点 - jun-jun1965の日記

    『文學界』で鴻巣、安藤礼二、江南が10点ずつ選んでいたが割と不満だったので自分の選んだのをあげておく。 車谷長吉「忌中」 勝目梓「小説家」 西村賢太「小銭をかぞえる」 大江健三郎「水死」 三木卓「k」 柳美里「JR上野駅公園口」 島理生「夏の裁断」 今村夏子「あひる」 村田沙耶香「コンビニ人間」 宇佐見りん「推し、燃ゆ」 自分のはさすがに抜いた。

    21世紀の純文学小説10点 - jun-jun1965の日記
  • 「大江健三郎がいた日本」の私     小谷野敦(作家・比較文学者) - jun-jun1965の日記

    (時事通信配信) 大江健三郎氏が亡くなられた。かつて谷崎潤一郎が死んだ時、三島由紀夫は、「谷崎朝時代」が終わったと評したが、私には、その少し前から始まっていた「大江朝時代」が今終わったと言いたいところである。大江氏は、東大五月祭賞を受賞し、「東京大学新聞」に発表された「奇妙な仕事」を、文芸評論家の平野謙が文芸時評で取り上げることによって、一躍有望な新人としてデビューし、ほどなく「飼育」で芥川賞を受賞したが、私には「奇妙な仕事」こそが初期大江において最も斬新な作品だと感じられる。当時、東大仏文科に在学中で、卒業とともにいきなり多忙な人気作家生活に入った大江氏には、苦しい時期が断続的に襲ってきた。高校時代からの年長の親友だった伊丹十三の妹と結婚し、精神的な安定をみたのもつかの間、浅沼稲次郎暗殺を題材にした「政治少年死す」を発表して右翼の脅迫に遭い、さらに脳に障碍のある男児・光が生まれ、彼ととも

    「大江健三郎がいた日本」の私     小谷野敦(作家・比較文学者) - jun-jun1965の日記
  • 2021年度小谷野賞 - jun-jun1965の日記

    受賞作 篠川賢「国造」(中公新書) 松浦大悟「LGBTの不都合な真実」(秀和システム) 特別賞 野口義晃(「配役宝典」の人)

    2021年度小谷野賞 - jun-jun1965の日記
  • 「平家物語」と勧善懲悪(1) - jun-jun1965の日記

    小谷野敦 高校三年生の時、私は川端康成を耽読していたから、川端が『平家物語』を評価していないと知った時、ほっとしたのを覚えている。私も『平家物語』が苦手だったからである。 私が初めて『平家物語』に触れたのは、小学校五年生のころ、少年少女講談社文庫という、こんな名ながら菊判ハードカヴァーの子供向けリライトによってであった。著者は高野正巳で、一九五三年にポプラ社から出たものを、おそらく前年(一九七三)の大河ドラマ「新・平家物語」の放送に合わせて刊行したものだろう。表紙には、壇ノ浦で二人の武者を両脇に抱え、これから入水しようとしている能登守教経が荒々しいタッチで描かれていた。 『平家物語』の現物を読んだのは高校二年の時、角川文庫の二冊によってであったが、特に現代語訳が必要でもない分かりやすい古文でスラスラと読んだが、さほど名作だという感じを受けなかった。むしろ、変な書物だという気持ちがあった。

    「平家物語」と勧善懲悪(1) - jun-jun1965の日記
  • 西村賢太年譜 - jun-jun1965の日記

    1967年7月12日、東京都江戸川区生 母は西村家三女。生家は祖父の代からの運送業。三つ上の姉がいた。 1977年4月2日 老人ホームで母方の祖母が死去 1978年9月 小学五年、父が強姦罪で七年の実刑、離婚した母と船橋に住む。 町田に転居。 1981年12月28日、横溝正史死去、ショックを受ける。 1982年 中学三年、二学期から不登校を始める。 1983年、中学卒業。素行不良。 鴬谷で一人暮らし。 1986年 板橋に住む。 1987年 伊勢佐木町に住む。                20歳 この年、姉が結婚か。 1988年5月 初めて田中英光全集を買う。          21歳 1991年「佳穂」と交際す。                 24歳 1992年 姉が離婚か。暴力行為で現行犯逮捕される。     25歳 1993年秋 宇留野元一に手紙を書く。            26

    西村賢太年譜 - jun-jun1965の日記
  • 手塚治虫とサントリー学芸賞 - jun-jun1965の日記

    手塚治虫=ストーリーマンガの起源 (講談社選書メチエ) 作者:竹内 一郎 講談社 Amazon テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ (星海社新書) 作者:伊藤 剛 星海社 Amazon 2006年に竹内一郎(さいふうめい)が『手塚治虫ーストーリーマンガの起源』でサントリー学芸賞を受賞した時、何人かのマンガ研究者が激しく攻撃した。宮大人、夏目房之介、藤由香里らで、「マンガ学会」の人たちであった。しかし、攻撃は激しいものの、具体的にどこがどういけないのか、奇妙に不明瞭な、そのくせやたらボルテージだけが高い攻撃だった。 これは要するに「わたしらのショバによそものが入って来た」という理由での騒動で、彼等は前年に出た伊藤剛の『テヅカ・イズ・デッド』をさしおいて何でこの程度のものが、と言いたかっただけである。しかし『テヅカ・イズ・デッド』は、ニューアカ的、ポモ的に読むのが難儀で、サント

    手塚治虫とサントリー学芸賞 - jun-jun1965の日記
  • 映画「星の子」アマゾンレビュー - jun-jun1965の日記

    星の子 通常版 [DVD] そうは見えない毒親 星3つ - 評価者: 小谷野敦、2021/04/06 原作を読んだとき、主人公は最後に大人になって宗教から解放されるのだと思って読んでいたら、そうならなかったので戸惑った。おそらくこれは今村夏子の実体験で、今村の両親は今もこの宗教に入っていて、否定できないのだろう。一見そうは見えないがこの二人は毒親で、生きている限り娘は小説の中でも宗教の呪縛から解放されないのだ。恐ろしいことだと思った。一見いい人のようだが、こういう親が毒親なのだ。(なお私はすべての宗教はオカルトだと考えている)

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  • 呉智英さんと私 - jun-jun1965の日記

    呉智英さんと絶縁してから五年くらいになる。絶縁といっても、単に新刊が出ても送らないというだけで、新刊を送ると旧仮名遣いで書かれたハガキが来るという程度のつきあいでしかなかった。 若いころは尊敬していたが、だんだん薄れていった。『読書家の新技術』で紹介されているはほとんど読み、当初は無理していいだと思いたがったりしていたが、次第にその数は少なくなり、今では『共同幻想論』はもとより「柳田国男集」にいたるまでゼロになった。呉さんは左翼運動へのアンチテーゼで封建主義とか言っていたので、江戸ブームとかが来ると何かちぐはぐになってしまったのである。 電話で、結婚しない理由を聞いたこともあり、学生運動の世界では、結婚するのは恥ずかしいことだという意識があったという。若いころは美男でもてたらしい。 産経新聞で佐々木譲の「警官の血」で言葉の間違いをあげつらって佐々木の反駁にあったのは2008年1月のこと

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  • 「山崎正和オーラルヒストリー」書評(週刊朝日) - jun-jun1965の日記

    七十歳を過ぎたような学者の知り合いには、私はことあるごとに、自伝を書いてくださいと言うことにしている。学者の自伝は最近好きでだいぶ読んだが、何といっても学問的にも、時代の雰囲気を知る史料としても面白い。とはいえ、自伝であれ伝記であれ、「まんじゅう」はどうもかたわら痛い。つまりキレイゴトに満ちた、誰それ先生は偉かった式のものである。 山崎正和は、自分で書くのではなく、数人の信頼する後輩学者によるインタビュー形式で、自伝をものしたと言えるだろう。パッと見たところ、これもキレイゴトに見えるかもしれない。ところがどっこい、山崎はそんな人ではなかった。 十年くらい前に何回かに分けて採録され、内部ではすでに出ていたのが、やっと公刊されたらしいが、裏話が実に面白い。特に、山崎の論敵となった江藤淳が、大磯で開かれた吉田茂をめぐるシンポジウムに来た話はすごい。かねて加藤典洋が、この時の吉田茂批判以来、江

    「山崎正和オーラルヒストリー」書評(週刊朝日) - jun-jun1965の日記
  • 綿野恵太氏の本 - jun-jun1965の日記

    綿野恵太氏とは、五月に天皇制をめぐってトークイベントをやったのだが、初の単著が出るということで、天皇制批判が書いてあると売れないよ、などと言っていたのが、蓋をあけてみたら売れているので少し驚きやや焦っている。 まあ在日朝鮮人問題とかヘイトスピーチとかを、グローバルな政治思想の面から解説した、けっこうアカデミックで、難しいとも言える。 アイデンティティとシティズンシップというのがキー概念なのだが、シティズンというのは「市民権」の有無とは関係ないらしい。 だいたいアメリカと日の対比で論じられていくのだが、米国の黒人差別などは、米国籍を持っている者を人種で差別するな、という運動なのだが、日の場合は、かつてサンフランシスコ講和条約の時に日国籍を剥奪され、今も帰化せずにいる「日国民」ではない人たちをめぐる問題なので、実はズレているのだが、綿野氏はそのズレを顕在化させないように書いていて、見

    綿野恵太氏の本 - jun-jun1965の日記
  • 高橋昌一郎と左巻健男 - jun-jun1965の日記

    http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20160914 先ごろツイッターで、高橋昌一郎が『理科の探検』とかいう季刊雑誌に書いた文章を引いて私をバカにしたものが出ていて、その『理科の探検』のアカウントらしいものがそれをRTして「小谷野敦氏のレベル」とだけ書いた。 調べると、この『理科の探検』(rika tan)というのは、法政大教授の左巻健男という人が編集長である。図書館では新刊だからまだ中央から回ってこないし、駅前の屋にもない。そこでSAMA企画という方南町にある事務所らしいところへ電話をしたら、息子の左巻光晴という人が出た。だが、ツイッターアカウントのことは知らないと言う。この息子は41歳だというが、何をしている人なのかと不思議に思ったが、夜になれば左巻が帰ってくるのかと訊いたら、それはないと言う。そこで法政大のほうを調べると、学部から「教科教育センター」

    高橋昌一郎と左巻健男 - jun-jun1965の日記
  • 修士論文を本にした例 - jun-jun1965の日記

    東大比較文学) 平川祐弘『ルネサンスの詩』内田老鶴圃 1961 のち講談社学術文庫 脇明子『幻想の論理」講談社現代新書 1974 四方田犬彦「空想旅行の修辞学」(七月堂)1996(あとになって) 西成彦『個体化する欲望 ゴンブロヴィッチの導入』朝日出版社、1980 福田真人『結核という文化―病の比較文化史』 (中公新書)2001(あとになって) 岸田俊子(エリス俊子)「萩原朔太郎」(沖積舎)1986 佐藤宗子「『家なき子』の旅」(平凡社 1987 佐伯順子『遊女の文化史』中公新書、1987 加藤百合『大正の夢の設計家』朝日選書、1990 劉香織『断髪』朝日選書、1990 小谷野敦『八犬伝綺想』福武書店、1990 松居竜五『南方熊楠一切智の夢』朝日選書、1991 崔官『文録慶長の役』講談社選書メチエ、1994 寺尾紗穂「評伝川島芳子」(文春新書)2008 (付記)村上陽一郎『ペスト大流行』

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  • 新刊です - jun-jun1965の日記

    このミステリーがひどい! [ 小谷野敦 ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 文学 > 戯曲・シナリオショップ: 楽天ブックス価格: 1,620円訂正 訂正した索引:http://www.asukashinsha.co.jp/files/index_m.pdf p23「操作方法」→「捜査方法」 p34「天地茂」→「天知茂」 p37「保護司」→「弁護士」 p48「そして誰もいなくなった」はアメリカ版の題 p52 ノン・ノベルは73年創刊なので祥伝社の箇所削除 p65 注の中井英夫の没年は「九三」 p118「角川文庫から出ていた。日で出ているのは英訳からの重訳・・・」→「角川文庫から、英訳からの重訳が出ていた(二〇一三年から原典からの新訳も出ている) p130『ABC殺人事件』→『僧正殺人事件』 p136「兵卒の鬣」→「兵卒の鬃」 p165「唯一の長編らしい」→

    littleumbrellas
    littleumbrellas 2015/09/07
    このミステリーがひどい!
  • 新刊です - jun-jun1965の日記

    人のための世界史入門 (新潮新書) 作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/02/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (27件) を見る 訂正 47p「四二・一九五キロメートル」は近代オリンピックで始まった。来は四○キロメートルほど。 50p「属名」→「種名」 64p「主権者が」→「国の代表が」 80p (カストラートは睾丸だけ切った) 102p 「ノルマンディー侯位」→「公位」 119p「ケプラー」→「コペルニクス」 126p「医学や法学もリベラル・アーツ」→「数学や天文学」 133p(『キャンディ★キャンディ』のジョルジュはフランス人か)『小説キャンディ・キャンディ』新版によると、先代アードレーがフランスから連れ帰ったもの 144p「皇帝がプリンチペ」→「プリンケプス」 178p「ヴァージニア植民地」→「東海岸」 18

    littleumbrellas
    littleumbrellas 2015/04/16
    日本人のための世界史入門
  • 私の好きな映画 - jun-jun1965の日記

    自分の好きな映画一覧などというのは、ナルシスティックだし、金井美恵子先生にバカにされること必定なので載せたくなかったのだが、私はこういう映画が好きなんであるから、君とは趣味が違うので、はなから近寄らないように、と警告するために載せることにした。いちおう、1(最高)2(その次)3(参考)という感じである。さあ、こんな映画が好きな奴は嫌だ、という奴は、逃げていってくれ。 1、七人の侍(黒澤明) どですかでん 喜びも悲しみも幾年月(木下恵介) 浮雲(成瀬巳喜男) 震える舌(野村芳太郎) 遠雷(根岸吉太郎) サード(東陽一) 祭りの準備(黒木和雄) ゆきゆきて、神軍(原一男) 風の谷のナウシカ(宮崎駿) ふたり(大林宣彦) 紅夢(張藝謀) 菊豆 赤いコーリャン 春夏秋冬そして春(キム・ギドク) 弓(キム) 黒・白(エミール・クストリッツァ) ムトゥ踊るマハラジャ 風と共に去りぬ(ヴィクター・フ

    私の好きな映画 - jun-jun1965の日記
  • 2015-01-16 引退の辯 - 猫を償うに猫をもってせよ

    芥川賞の選考が済んだ。私はその結果に不満であるのみか、小川洋子の談話によって報道された講評がまったく的外れであることに失望した。もともと、そんな賞ではないか、東浩紀とお前は同じか、と言われれば一言もない。 選考委員のそれぞれがどうであったかは知らない。だがその全員を私が批判したことがある、というのは、やはり大きかったのだろう。にしても、純文学の賞であるはずなのに、なぜ通俗作家ばかりが選考委員をしているのだろう。黒井千次や島田雅彦など、受賞してなくても選考委員になれるなら、なぜ純文学一筋で来た津島佑子や金井美恵子がいないのか。 この結果を見る時、個別にはどうかは知らないが、総体としてこれら選考委員は、文学が分かっていない連中だと判断せざるをえないし、私の候補作のほうが、これら選考委員の書く小説よりも優れた純文学だと信じている。 三島由紀夫が芥川賞の選考委員になった時、議論が公正なのに驚いた、

    2015-01-16 引退の辯 - 猫を償うに猫をもってせよ
    littleumbrellas
    littleumbrellas 2015/01/17
    落選した後のツイッターが面白いからあと三回くらい落選してほしかった。勝手なこと言って申し訳ないけど。
  • 何でも比較はできる。 - jun-jun1965の日記

    http://d.hatena.ne.jp/genkaiblog/20130719/p1 「この論文は、ある意味で一番ショッキングかもしれない。なぜなら、円城塔と石原慎太郎という、接点などほとんどないように思える作家をとりあげ「交点」をさぐるのだから。そんなものあるのか? いぶかしく思うの当然だ」 これは、比較文学の教材に最適だと思った。かつて、『万葉集』が朝鮮語で読めるという議論があった時だったか、金田一春彦は、「manyoshu」と書けば、many odes に似ているから、『万葉集』は英語でも読めると批判したが、国内外を問わず、任意の二つの文学者ないし作品を持ってきたら、いかなる作品作家でも、比較はできるのである。 たとえば、紫式部とトーマス・マンは非常に似ている、と論じてみようか。『ブッデンブローク家の人びと』は、マンの生家をモデルに、一つの家が没落するさまを描いているが、『源氏物

    何でも比較はできる。 - jun-jun1965の日記
    littleumbrellas
    littleumbrellas 2013/08/24
    『こじつければ、いかなる作品や作家でも、たいていは、似ていると言える』『比較文学というのは、こういう無関係な作品同士の比較研究をやってきて、それはとうてい学問ではないだろうという結論に達した学問』
  • 2010年度小谷野賞は『江の生涯』に - jun-jun1965の日記

    福田千鶴先生はかねて尊敬する歴史学者だが、『江の生涯』(中公新書)はどうせ大河ドラマ便乗だろうと思っていたら、配役宝典ののよりんさんが、なかなか刺激的な内容だというので読んでみたが、これは凄い名著であると思った。2010年度の小谷野賞って、そりゃ私が勝手に設けているだけなのだが、まだ決まっていなかったのでこれに授与することにする。サントリー学芸賞ほか三つくらい賞をとってもいいと思う。 刺激的というのは、浅井江について、佐治一成との婚姻は約束だけで実際には輿入れしていなかったとか、かねて江の実子とされていた徳川家光、東福門院和子は江の子ではないと推理した点だが、そうした点、あるいは読物としてのまとまりの良さに加えて、一次史料に依拠してのいつもの福田節とも言うべき緻密な書きぶりが素晴らしい。しかも私同様、ちゃんと女性名は「浅井江」「浅井茶々」と書いておられるのも嬉しい。中村孝也のような昔の学

    2010年度小谷野賞は『江の生涯』に - jun-jun1965の日記
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