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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (8)

  • 読書メモ:『移民をどう考えるか:グローバルに学ぶ入門書』 - 道徳的動物日記

    移民をどう考えるか: グローバルに学ぶ入門書 作者:カリド・コーザー 勁草書房 Amazon 一昨日の『福祉国家』、そして昨日の『ポピュリズム』に並んで、オックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第三弾。今回は『移民』だ。……とはいえ、前著二つが「人文学」的というか「思想」的であって読み応えや紹介のし甲斐があったのに比べて、『移民をどう考えるか:グローバルに学ぶ入門書』はかなり社会科学的というか、事実が淡々と並べられているという趣の強いなので(それ自体が悪いというわけではない)、今回の紹介記事も淡々と短くなります。 書のなかでももっとも意外でタメになったのは下記の箇所。 オックスフォード大学の社会学者であるアンソニー・ヒース教授は、この問題に関する幅広い国際的な比較分析をさまざまな研究者たちとともに実施し、「エスニック・ペナルテ

    読書メモ:『移民をどう考えるか:グローバルに学ぶ入門書』 - 道徳的動物日記
  • 読書メモ:『多文化時代の市民権:マイノリティの権利と自由主義』 - 道徳的動物日記

    文化時代の市民権―マイノリティの権利と自由主義 作者:ウィル キムリッカ 晃洋書房 Amazon 読んだのは一ヶ月前なので、多少記憶から抜け落ちているところもある。 また、原初が出版されたのは1995年と約三十年前であり、書のテーマとなる民族的マイノリティや移民の問題は、その後に色々と状況が変わって問題はますます複雑になっている(とくに移民の問題は日でもあれこれ騒がれているところだ)。そいいった状況の変化に合わせながら、ウィル・キムリッカは書の後にも『土着語の政治』や『多文化主義のゆくえ』など、アップデートされた多文化主義論を出版し続けている。……とはいえ、どちらのもそれぞれ邦訳を読んできたが、キムリッカの基的な主張は書から変わってない*1。また、他の二冊は執筆当時の社会の状況をふまえた時事論的な要素が含まれているのに対して、『多文化時代の市民権』は政治哲学の理論書という側面

    読書メモ:『多文化時代の市民権:マイノリティの権利と自由主義』 - 道徳的動物日記
    mekurayanagi
    mekurayanagi 2023/09/01
    アズマンが近年唱えている「訂正可能性」と似た議論か。
  • 読書メモ:『ヘイト・スピーチという危害』ほか - 道徳的動物日記

    davitrice.hatenadiary.jp 前回に引き続き、来たる6月13日の「左からのキャンセル・カルチャー論」トークイベントに向けて、表現の自由というトピックに関して復習中*1。 最近に読んだり再読したりしたは以下の通り。 ヘイト・スピーチという危害 作者:ジェレミー・ウォルドロン みすず書房 Amazon 「表現の自由」の明日へ:一人ひとりのために、共存社会のために 作者:志田 陽子 大月書店 Amazon 「表現の自由」入門 作者:ナイジェル・ウォーバートン 岩波書店 Amazon ウォルドロンと志田のはどちらも初読。前者はアメリカの法哲学者が書いたものでヘイト・スピーチ規制がはっきりと打ち出されているもので、後者は日の憲法学者が判例や事例を紹介しながら法律上の「表現の自由」の意義と実際の運用について解説したもの。ウォーバートンのについては以前にもこのブログでメモを取

    読書メモ:『ヘイト・スピーチという危害』ほか - 道徳的動物日記
    mekurayanagi
    mekurayanagi 2023/06/06
    “表現の自由というものの重要さとヘイト・スピーチがもたらす危害の曖昧さを考えると、その理論を打ち立てるのはかなり難しい”
  • 「愛のあるセックス」はなぜ必要か(読書メモ:『性と愛の脳科学』) - 道徳的動物日記

    性と愛の脳科学 新たな愛の物語 作者:ラリー・ヤング,ブライアン・アレグザンダー 発売日: 2015/12/09 メディア: 単行 このの概要については先日の記事でさくっと触れているので、いきなり題から*1。 このでまず面白かったのが、第4章から第6章にかけて、女性と男性が異性に対してそれぞれに抱く愛情の質の違いを分析するところだ。 第4章の「母性を生む回路」では、自分が産んだ子供を世話したいと母親が思う感情、つまり「母性愛」の存在が脳科学の観点から説明される。端的にいえば、母性愛とはプロラクチンとオキシトシンというホルモンによって引き起こされる。オキシトシンが母親に与える影響の具体例は、以下のようなものである。 人の母親が赤ん坊を胸に抱いてやる時、母親は赤ん坊の顔と目を見つめ、赤ん坊もしばしば、母親の顔を見つめ返す。母親は赤ん坊の泣き声や、赤ん坊の声に耳を傾け、自分からも声をかけ

    「愛のあるセックス」はなぜ必要か(読書メモ:『性と愛の脳科学』) - 道徳的動物日記
    mekurayanagi
    mekurayanagi 2021/04/20
    “この本の内容をすべて鵜呑みにするわけにはいかないかもしれない。だけれど、なんにせよ、面白い本であることは間違いないだろう。いろいろとタメになるし。” ためになるのか?
  • 社会運動において意見を発信する側はどうするべきか、そして意見を受け取る側はどうあるべきか - 道徳的動物日記

    davitrice.hatenadiary.jp 上述の、先日に自分で書いた記事に付け足す形で思うところを書きたい。 先日の記事でも紹介したが、ニック・クーニー(Nick Cooney)の著書『心を変える:社会を変える方法について心理学が教えてくれること(Change of Heart: What Psychology Can Teach Us About Spreading Social Change)』では、活動家としての著者の経験と心理学の様々な知見に基づきながら「ある社会問題について、社会運動によって自分たち以外の人々をその社会問題に注目させて、それらの人々の考え方や意見を変えることで社会も変化させることを、効果的に行うためにはどうすればいいか」ということについての実践的なアドバイスやテクニック論じられているである。 なぜそのようなアドバイスやテクニックが必要になるかというと、人

    社会運動において意見を発信する側はどうするべきか、そして意見を受け取る側はどうあるべきか - 道徳的動物日記
  • 退行的左翼とイスラム教 - 道徳的動物日記

    www.wikiwand.com togetter.com 上にリンクを貼った記事などでも紹介されたり言及されたりしているが、近頃の英語圏の無神論者や反PC界隈のメディアやブログ等を読んでいると、 Regressive Left 退行的左翼 という言葉を目にする機会がある。 退行的左翼について私なりに簡単に説明すると、来なら左派には容認できない物事(人権や自由の侵害・女性や性的少数派に対する性的虐待や性差別など)を、多文化主義や反植民地主義やアイデンティティポリティクスなどの左派的な原則を尊重するあまりに容認してしまう左翼のことである。 上の記事でも説明されている通り、この言葉を最初に使い出したのは 元イスラム原理主義者であり現在はイスラム原理主義に反対している活動をしている Maajid Nawaz(マージド・ナワズ)であるようだ。英語Wikipediaによると、エジプトで原理主義者

    退行的左翼とイスラム教 - 道徳的動物日記
  • 環境倫理と動物倫理についての論文を雑に紹介 - 道徳的動物日記

    davitrice.hatenadiary.jp 昨日に紹介したこの記事に関連して、倫理学者のゲイリー・ヴァーナー(Gary Varner)が The Oxford Handbook of Animal Ethicsに寄稿している記事「環境倫理、狩猟、動物の位置付け(Environmental Ethics, Hunting, and the Place of Animals)」を参考にしながら、環境倫理と動物倫理との関係について軽く紹介したい。私は基的に環境倫理よりも動物倫理の文献を主に読んできており、今回のブログ記事も前者より後者に対して好意的な紹介になっているし環境倫理に対してフェアであるとは言えないかもしれないが、特に日で出版されている環境倫理の教科書は動物倫理に対してかなり批判的だったりアンフェアな記述をしているものも多い気がするので、まあカウンターとしてこういう記事があって

    環境倫理と動物倫理についての論文を雑に紹介 - 道徳的動物日記
    mekurayanagi
    mekurayanagi 2016/10/22
    ちょうと動物倫理について概説を掴みたいと思っていたので助かる。
  • 「猫戦争:自然保全の道徳的汚点」 by ウィリアム・リン - 道徳的動物日記

    www.huffingtonpost.com 日紹介するのは、環境や動物に関する倫理や政策を研究しているウィリアム・リン(William Lynn)が英語版ハフティントンポストに発表した記事。 natgeo.nikkeibp.co.jp 上の記事にて紹介されている、『Cat Wars』という著作とそれを巡る議論に関する記事で、リン氏は『Cat Wars』にかなり批判的。記事の中盤はちょっと陰謀論っぽいところもあるし、訳者である私は批判の対象となっている『Cat Wars』を読んでいないのでリン氏の議論がフェアであるかどうかも判断できないのだが、後半の環境倫理と自然保全に関する議論は日ではなかなか紹介されにくいものであると思うので、訳して紹介することにした。 「戦争:自然保全の道徳的汚点」 by ウィリアム・リン 『戦争:可愛い殺し屋がもたらす悲惨な結果(Cat Wars: The

    「猫戦争:自然保全の道徳的汚点」 by ウィリアム・リン - 道徳的動物日記
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