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1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ 生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 今回は
離婚した母子世帯の2割しか、元夫から養育費の支払いを受けていません。昨年12月に連載した「子どもと貧困 シングルマザー」の中でこうした現状を取り上げたところ、多くのご意見をいただきました。どうすればきちんと支払われるようになるのか、集まった意見をもとに考えます。 受け取りは子の権利 兵庫県明石市・泉房穂市長 兵庫県明石市は離婚後の子どもの養育を支援するため、離婚届を取りに来た人に養育費の額や支払期間など夫婦の取り決めを記入する独自の「合意書」を2014年4月から配っています。政府も、子どもの貧困対策として、新年度中に全市町村で同様の取り組みを始めることを昨年末に決めました。明石市の泉房穂(ふさほ)市長に話を聞きました。 ◇ 養育費や面会交流について取り決める合意書作成は任意で、どこかに提出しなければならないものではない。けれど、調停をするときや公正証書を作るときの資料になります。ほかにも市
かつての日本には、「一億総中流」と呼ばれた社会がありました。経営者と労働者の所得格差は小さく、「福祉国家」をめざす政策によって貧富の差は是正されようとしていました。国民皆保険の医療保険制度が整備され、平均寿命も伸びていきました。世論を二分した「安保法制」をめぐる政治手法が際立った安倍内閣は、ひるがえって「一億総活躍」というアドバルーンをあげました。 (『「一億総活躍」より「みんなちがって、みんないい」』2015年10月6日「太陽のまちから」) 「一億総活躍」という言葉に実感がともなわないのは、現在の日本社会が格差と不平等が拡大するだけでなく、世代間連鎖を運命づけられているように変質しているからです。製造業への派遣労働への規制が撤廃され、非正規労働がとめどなく広がった結果、リーマンショック後には20代、30代の若者たちが失職しただけでなく、住まいを失う事態が社会問題化しました。こうした不安定
困窮するひとり親世帯の家計には、激しい収入の波がある。波を大きくしているのは、公的手当のまとめ支給。それにうまく対応できないと、現金不足から滞納や借金を重ねるうち、何かのきっかけですぐ破綻(はたん)する。 関東地方の公営住宅の自宅で昨年9月、中2の一人娘を殺害したとして、母親が殺人罪などに問われた。家賃を約2年分滞納した末、明け渡しの強制執行当日に犯行に及んだとされる。11月27日、東京高裁は母親の控訴を棄却、懲役7年を言い渡した。 公判や行政の資料などをもとに、朝日新聞は、ひとり親だった母親の2年間の月収の推移と家賃の支払い状況を分析した。収入の波の中で、手当の入る偶数月に滞納家賃をまとめて払っていた様子が、浮かび上がった。 母親は学校給食センターのパート調理員だった。夏休みは仕事がないため、9月の収入は元夫からの養育費(3万円)のみ。一方、児童扶養手当が入る4、8、12月の収入は、30
困窮するひとり親世帯への公的手当は、数カ月分がまとめて支給されるため、家計に激しい収入の波をもたらす。その支給方法によって、貧困から抜け出せなくなる家族の姿を追った。 大阪府の30代女性は11日、中学生の長男と外へ出かけ、串揚げを食べた。 この日は待ちに待った、児童扶養手当の支給日だ。約17万円が振り込まれた。前日まで所持金数百円。1週間近く、ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいできた。 昨年末、体の不調で失業。今は月5万円の養育費と、2、6、10月に入る児童手当(4万円)と、4、8、12月に入るひとり親世帯が対象の児童扶養手当で暮らす。手当の入る偶数月と入らない奇数月で、収入は激しく波打つ。 電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に支払うのも、手当の支給日だ。これで手当の半分が消える。 手当で一息つくものの、長くは続かない。どの料金を滞納するか払う
子どもと貧困 シングルマザー編 「私とママの家は小さいね」 友達の家を訪ねた後から長女(3)が口にする言葉が、女性(36)の胸にチクリと刺さった。京都市の家賃5万5千円の木造長屋。洗面台はない。 公的機関の非常勤職員で、手取りは月13万7千円。片道230円のバス代を節約し、40分かけて自転車で通勤する。 離婚した元夫から養育費はもらっていない。 一昨年6月、頭を踏みつけられるなどの家庭内暴力(DV)に耐えきれず、家を出た。離婚調停が成立せず、昨年4月に裁判で離婚を請求。月6万4千円の養育費を求めた。 団体職員だった元夫の年収は485万円あった。だが調停中に辞職し、借金して飲食店を開業。「店は毎月赤字。払える状態にない」と反論された。最終的に示された回答は「1万円なら払える」。結局、もらわない決意をし、昨年11月、離婚が成立した。 「国や市が間に入って養育費が払われるなら、1万円でも5千円で
[震災10年 復興の先へ] 営農再開いまだゼロ 安全実証も帰還進まず 福島県大熊・双葉町 東京電力福島第1原子力発電所事故から間もなく10年がたつが、福島県大熊、双葉両町は、いまだに営農再開ゼロの状態が続く。実証栽培などを通じ一部地域では水稲や野菜の安全性を確認したが、担い手の確保にめどが立たないからだ。町外に避難した農家の帰還が進まず、長期間の避難で高齢化していることも影を落とす。 大熊町では避難指示が解除された大川原地区で3年間の主食用米の実証栽培が2020年度に最終年を迎えた。いずれも放射性物質の検査結果は基準値以下だった。栽培技術をマニュアル化し、営農再開に役立てたい考えだが農家らの帰還が進まず、現時点で稲作の再開を決めた農家はいない。 同地区では14年度、試験栽培が始まり、18年度には全量検査を前提に出荷が可能な実証栽培に移行。主食用米を16アールで栽培し、20年度には酒造好適米
ひとり親の5割超が非正規雇用で、3割超が預貯金ゼロ-。県がまとめた「ひとり親家庭アンケート」で、こんな厳しい実態が浮き彫りとなった。 アンケートは県が今年3月、「県子どもの貧困対策推進計画」を策定したことから、現状を把握しようと初めて行った。県内の児童扶養手当受給資格者6万1990人(今年3月末現在)のうち、651人(母親634人、父親16人、その他1人)から、インターネット経由で回答を得た。 それによると、現在の就業状況は非正規雇用の「パート・アルバイト・非正規職員」が51・5%で最も多く、過半数を超えた。正規雇用の「常勤・正規職員」が37・6%、仕事を探している「家事無職」は4・3%だった。 株、保険、現金などの預貯金額は、「0円」が33・9%と最多だった。0円を含む100万円以下が全体の4分の3を占めた。複数回答の項目では、過去1年間に光熱費などの公共料金の支払いができなかったり遅れ
ひとり親の家庭に支給される「児童扶養手当」について、政府は来年度から子どもが2人以上の家庭への支給額を引き上げる方針を決めた。年末の来年度予算編成に向け、倍増を軸に厚生労働省と財務省が調整している。2人目の支給額引き上げは35年8カ月ぶり、3人目以降は21年半ぶり。 児童扶養手当は1人目の子ども分として月額最大4万2千円が支給されるが、2人目は5千円、3人目以降は3千円ずつと大幅に減る。これを2人目に1万円、3人目以降に6千円ずつと、それぞれ倍増することを軸に検討している。 受給者は3月時点で約105万8千人。10年前より約14万7千人増えた。子どもが2人以上いる受給者は約42万3千人で、全体の4割を占める。ひとり親家庭の貧困率は54・6%(2012年)と高く、子どもが多い世帯ほど家計支出が増える。支援団体などは第2子以降の支給額引き上げを求めており、政府は子どもの貧困対策の目玉とする考え
「東京都足立区の子どもの貧困実態は - 児童扶養手当受給のひとり親が増加」と題した前編では、同区の子どもを取り巻く状況や、対策の方針についてお伝えした。後編となる今回は、具体的な対策の内容について引き続き区の担当者に聞いた。 貧困を抱える子ども・家庭を孤立させない 同区は「教育・学び」「健康・生活」「推進体制の構築」の3つを柱として81の事業で貧困対策を進めていくとしている。同事業に共通しているのは、貧困の子どもや家庭を「孤立させない」という姿勢だ。 例えば「教育・学び」の新規対策として実施予定の「居場所を兼ねた学習支援」は、NPOなどへの委託により経済的に苦しい家庭の中学生が高校進学を目指す学習場所を提供するというもの。これに加えて同区では、学業とは別にほかの人とおしゃべりできるようなスペースも用意するとしている。子どもたちの「居場所」をつくることで、コミュニケーション能力や社会性、生活
朝日新聞デジタルアンケートに、2回合わせて3千近い回答が寄せられました。メールや手紙でも100を超える意見や提案が届きました。自らもシングルマザーで、ひとり親家庭を支援する民間団体の代表、徳丸ゆき子さんに話を聞きました。子どもの貧困を減らすため、私たちはどう次の一歩を踏み出せばいいのでしょうか。 大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)代表・徳丸ゆき子さん おととし設立したCPAO(シーパオ)では昨年にかけ、大阪のシングルマザー100人に聞き取り調査をしました。様々な事情でしんどい状況におかれている母親を見つけ、支援につなげる。親子まるごとサポートしないと子どもは救えません。 生い立ちを聞くと、困窮している多くの母親は、自分が子どものころから暴力や貧困と隣り合わせにいました。家にいられず、寂しくて結婚して、パートナーから暴力を受けるケースも多い。働きづめで子どもと向き合う時間が限られ
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