小泉康一 タイ人の姓名は名・姓の順に書き、名(チュー、文語ではナームとなる)を先に、姓(ナーム・サクン)を後にする。姓にはサンスクリット語を借用した長いものが多い。しかし一般には名を呼んで、姓を呼ばないのが習慣であり、正式でもある(正式にはナーイ《Mr.》、ナーング《Mrs.》、ナーングサーオ《Miss》をつけてもよいが、話し言葉ではすべてクゥンをつけるのが普通)。 というのも、タイでは仏暦2456(西暦1913)年に姓氏令がでるまでは、名のみで姓はなかったからである。家の姓というものは、ラーマ6世モンクット(ワチラウット)王 Rama VI Mongkut(Wajirawut)(在位1910-25年)が官僚制度整備の必要上から制定するまで一般的ではなかったのである。 その官吏であるが、以前は官職に就くと王から名()を賜り、その名は官職によって次々とかわっていった。すなわち1932年の立憲