大好きだったエンジニアが我が社を去った。 彼が活躍するステージを作るためにお金を稼いでいたのに。 研究をやってたから直接、僕のビジネス(ってか売上)とは関係ないし毎日ナニをしてるのかも知らなかった。 (うちの研究開発部門ってそういうとこがある。まるで新車の開発チームみたい) でも彼は天才で、僕は彼に憧れていた。 ずいぶん年下だしロクにしゃべったことなかったけど尊敬していた。ああ、そう一度だけじっくり話したことがある。 米国出張の報告を頼んだときの彼の説明には感動した。あんなに新しい技術のことを一生懸命話してくれるエンジニアは初めて会った。なんといっても僕にわかるように説明してくれたのには舌を巻いた。日本ではまだ誰も知らないような尖った技術論をこの俺が理解できるように話すなんて! わかっていることは、これでは上場した意味がわからんということだ。 いくつかの役割の一つとして、だけど夢