「少年少女が軍国主義に染まったのは若い世代に重点的に宣伝活動やプロパガンダを展開していたから」という面もあると思う。が、山中恒さんをはじめとした当時の現役少国民の人の証言を読むと、〈少国民に対する圧倒的な暴力による支配〉という面も強く感じる。ヒロイズムだけでは死への動員は難しい…
加計学園の獣医学部新設をめぐり、3年前、安倍総理大臣は加計理事長と面会したのか。 即座に否定した安倍総理大臣が、根拠の1つとしたのが報道各社の「首相動静」だ。「首相動静などで調べるしかないが、それを見るかぎりお目にかかっていない」と。しかし、首相動静は本当に根拠となるのか。そもそも、総理のすべての動きを捉えたものなのか。 今回は、私たち総理番記者が「首相動静」をどのように取材し、書いているか明らかにしよう。そして、いつから、なぜ始まったのか、その起源をたどってみた。 (政治部総理番 佐久間慶介) 「首相動静」の記事をご存じだろうか。新聞社によって名前は違うが、全国紙などの片隅に毎日、小さく掲載されている。NHKでもウェブサイト上に「総理、きのう何してた?」というコーナーで日々更新している。 総理の行った場所、面会者を記録したもので、「何時何分、誰それと面会」などと記載されている。 総理の日
著者フランシス・フクヤマは『政治の起源』で、人類誕生以前からフランス革命までの歴史を振り返りながら、「国家」、「法の支配」、「政府の民主的説明責任」という3つの重要な政治制度がどのように生み出されたのかを巧みに説明した。この『政治の衰退』は『政治の起源』の姉妹編であり、フランス革命以降の過去2世紀の間にこの3つの制度がどのように相互作用しながら発展してきたかを論じていく。そして最後には、先進民主主義国でこれら3つに衰退の兆候が見受けられることが示される。ポピュリズム、排外主義や核の脅威など、政治の不安定がいや増す現代社会の未来を見通すために必読の一冊だ。 なぜ西洋が大きく発展し他の地域を大きくリードしているのか、という問いは18世紀以降の経済学者の最大の関心事項の1つである。アリストテレスからルソーまで、地理と気候が政治制度に大きな影響を与えたと論じてきた。ところが、植民地帝国が解体され発
敗戦の翌春、占領軍司令部を訪ねた吉田茂(よしだ・しげる)外相はマッカーサー司令官になじられた。「冬は数百万の餓死者が出るといって援助を求めてきたのに、そんなひどくなかったではないか。日本の統計はでたらめだ」▲吉田は平然とやり返したという。「当たり前です。統計が正確ならあんなバカげた戦争はしないし、統計通りいけばこっちの勝ちいくさだ」。吉田当人がマッカーサーとの信頼関係ができたきっかけとして披露していたエピソードだ▲それから72年、今では日本の役所の調査統計の信頼度は世界最高クラスと思っていたら、この騒ぎだ。安倍(あべ)政権の鳴り物入り看板政策たる働き方改革関連法案を、提出前にしてピンチに追い込んだ厚生労働省のとんでもデータだった▲もともと労働側が求める残業時間の上限規定など労働規制強化と、使用者側が求める裁量労働制の対象拡大など規制緩和を抱き合わせた関連法案だ。その裁量労働制に関する調査デ
■炎上した三浦氏のコメント 2017年8月12日、東京新聞で特集記事「気分はもう戦前? 今の日本の空気」が掲載された。この記事は「今の社会に、戦前のかおりがしないか」という問いかけで構成されたもので、ここに国際政治学者・三浦瑠麗氏が登場していた。「全否定は過去見誤る」と題されたコメント記事で、三浦氏は「「戦前回帰」を心配する方々が思い描く「戦前」のイメージに不安を覚えます」と嘆いてみせた。 彼女によると「大日本帝国が本当の意味で変調を来し、人権を極端に抑圧した総動員体制だったのは、一九四三(昭和十八)〜四五年のせいぜい二年間ほどでした。それ以前は、経済的に比較的恵まれ、今よりも世界的な広い視野を持った人を生み出せる、ある種の豊かな国家だった」のだそうだ。 すぐにわかることだが、敗戦前までの「人権抑圧」は、何も1943年にはじまったわけではない。1925年の治安維持法の制定以降の共産党員や労
という主旨のNBER論文が上がっている。論文のタイトルは「Austerity and the rise of the Nazi party」で、著者はGregori Galofré-Vilà(ボッコーニ大)、Christopher M. Meissner(UCデービス)、Martin McKee(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院)、David Stuckler(ボッコーニ大)。 以下はその要旨。 The current historical consensus on the economic causes of the inexorable Nazi electoral success between 1930 and 1933 suggests this was largely related to the Treaty of Versailles and the Great Depres
何気ない日常を描いた1枚の絵。それをもとに「思想犯」と決めつけられ、突然逮捕されたら? 「その思想は許されない」という理由だけで身体の自由をも奪われたら? 自由をおう歌する今の日本では考えられないようなことが、戦時下の日本では度々「事件」とされた。事件を生んだのは、治安維持法と特別高等警察(特高警察)だ。そうした事件の当事者は年を重ね、次々と他界している。数少なくなった当事者の声を聞くため、北海道に向かった。(Yahoo!ニュース 特集編集部) 北海道旭川市の菱谷良一さん(95)は、自宅にアトリエを構えている。とても元気で、体の動きも会話も90歳を超えたとは思えない。若い時に始めた絵が生きがいで、今も友人たちとスケッチ旅行に出る。1、2年前までは絵の具を持って外国にも出掛けていたという。
このへんの話。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170907/k10011129891000.html http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170908/p2 事情に詳しくない人からすると「なんでそんなにカタルーニャは熱くなってるの?」って感じだろうと思うので、簡単に解説したあとで補足説明をつけます。 5分でわかるまとめ今のスペインには「民族(ネーション)」をめぐって2つの対立軸がある 「スペインは単一民族(ネーション)からなる国だよ(だから地方の独自色はなるべくなくしていくのが望ましいよ)派」と「スペインはたくさんの民族(ネーション)からなる国だよ(だからもっと地方分権して独自の言語を守っていこうよ)派」 今の中央政府(国民党)はゴリゴリの単一民族派で、最大野党もどっちかというと単一民族派寄り、全国政党で多民族国家派なのは急
NHKが731部隊の人体実験証言テープを公開し、安倍政権につながる重大な問題を指摘! ネトウヨが錯乱状態に 敗戦から72年目を迎えた夏。8月13日に初回放送されたドキュメンタリー、NHKスペシャル『731部隊の真実〜エリート医学者と人体実験〜』がいま、大きな反響を呼んでいる。 「731部隊」とは、日本の満州国建設から4年後、日中戦争の前年にあたる1936年8月に、関東軍防疫給水部本部の名称で発足した陸軍の秘密部隊の通称。満州で日本軍の細菌兵器の開発を行い、中国人やロシア人を使った人体実験を行っていた。日本の敗戦と同時に、証拠隠滅のために部隊の研究施設は破壊され、被験体の囚人なども殺害・焼却されたとされる。 その存在については、当初、右派から「捏造説」がしきりにいわれてきたが、歴史家や研究者の実証的研究で事実であることがほぼ確定している。731部隊研究の第一人者である常石敬一・神奈川大学名誉
日中戦争さなかの1939年に刊行された『軍人わしが国さ』をご存知だろうか。人物評論家の伊藤金次郎が、日本陸海軍の軍人約2000名を論評した、空前絶後の著作である。 東条英機にせよ、山本五十六にせよ、日中・太平洋戦争期の軍人の評価は今日おおよそ定まっている。だが、戦争当時のかれらの評判はかならずしも明らかではない。 そこで『軍人わしが国さ』をひもとくと、意外なことがわかる。いまでは悪名高い軍人が絶賛されていたり、その逆もあったり、あるいはまったく違いがなかったりする。 戦時下ゆえに書きにくい面もあっただろうが、それを割引いても、めっぽう面白い著作である。 東条英機は「電気仕掛けみたいな人物」 試みに、東条英機についてみてみよう。 いうまでもなく、東条は、太平洋戦争開戦時の首相・陸相である。戦後A級戦犯として処刑されたことなどもあって、現在では戦時下の諸悪の根源であるかのような見方さえある。
国会ウォッチャーです。 昨日の法務委員会、参考人質疑の松宮孝明立命館大学教授の意見陳述は非常によくまとまっていて、私が感じている疑問点をほぼ全て言ってくれたな、と思いました。よろしければご覧ください。TOC条約を締結するに際して、なにも法整備しなかったのに、締結している国はあるのか、という質問がありましたが、とりあえず私の調べた範囲だと、カナダは新設した参加罪の適用範囲を、5年以上と規定しているし、対象は経済事犯に絞られています。またマレーシアはserious offenceの定義を10年以上としていますし、UNDOCの締結国への質問への解答等によると、タイでは死刑犯罪以外への共謀罪既定がなく、参加罪もないけど締結していました。あと捜査共助の障害という意味では、死刑制度などが先進国との容疑者引き渡しの障害になっている方が大きいという話をされていました。あと維新の東徹議員が誇らしげに、可視化
安倍首相・内閣の言動がはちゃめちゃだとするなら、「どんな風にはちゃめちゃなのか」というより「どうしてはちゃめちゃが成立するのか」の方に興味があるし、「首相は愚かだ」と嘆くよりは「愚かな事態をシステムはどのように許したのか」を知りたい。 今の時点でどう見えているか記録を残しておけば、10年後くらいに読み返して面白いかもしれないと思って。 はちゃめちゃが成立する構造 はちゃめちゃが安定して存在するには、「はちゃめちゃを許容する構造」と「はちゃめちゃを用意する構造」の両方が必要になる。 おふとん(=眠気を許容する構造)と眠い人(=眠気を用意する構造)の両方がそろって安定した睡眠が成立するみたいな感じ。おふとんだけあっても全く眠くなければ睡眠は発生しないし、眠い人がいてもおふとんが無ければぐっすり眠れず目が覚めてしまう。 それから眠くなかったのにおふとんに入ったら眠くなってしまうといった、「許容す
「平和構築」を専門にする国際政治学者 篠田英朗(東京外国語大学教授)のブログです。篠田が自分自身で著作・論文に関する情報や、時々の意見・解説を書いています。過去のブログ記事は、転載してくださっている『アゴラ』さんが、一覧をまとめてくださっています。http://agora-web.jp/archives/author/hideakishinoda なお『BLOGOS』さんも時折は転載してくださっていますが、『BLOGOS』さんが拾い上げる一部記事のみだけです。ブログ記事が連続している場合でも『BLOGOS』では途中が掲載されていない場合などもありますので、ご注意ください。 トランプ大統領については、「ポピュリズム」「内向き志向」「孤立主義」などのネガティブな単語で、その政治傾向を特徴づけるやり方が一般的であるように見える。確かに、トランプ大統領を「リベラル/保守」のような既存のイデオロギー
(1月21日午後6時、トランプ米大統領就任演説の直後、西新宿の喫茶店にて。以下本文敬称略) 急なお願いを聞いていただいてありがとうございます。 片山杜秀・慶應義塾大学法学部教授(以下片山) いえいえ。トランプとオバマ、新旧大統領の就任、退任スピーチを聞き比べてざっくり総括、ということでよろしかったんでしょうか。 片山 杜秀(かたやま・もりひで)氏 音楽評論家、政治思想史研究者、慶應義塾大学法学部教授。1963年生まれ。近著は『近代天皇論 ──「神聖」か、「象徴」か』(集英社新書)、『大学入試問題で読み解く 「超」世界史・日本史』(文春新書)。著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』『クラシック迷宮図書館(正・続)』『線量計と機関銃』『現代政治と現代音楽』(以上アルテスパブリッシング)、『クラシックの核心:バッハからグールドまで』(河出書房新社)、『未完のファシズム』(新潮選書)、『近代日本の右翼
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