メキシコのシエラ・チンクアの越冬地に集まるチョウたち。山の冷涼な気候がチョウの代謝を低下させてエネルギー消費を抑える。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 毎年、数百万匹のオオカバマダラがカナダ南部と米国北部の一帯から4800キロメートルも移動して、メキシコシティ郊外の森林地帯で越冬する。(参考記事:「【動物大図鑑】オオカバマダラ」) 「オオカバマダラの大移動は広く知られています」と、米ジョージア大学の動物生態学者であるアンディ・デイビス氏は話す。「しかし、エネルギーが乏しい小さな昆虫がなぜ驚異的な渡りを成し遂げられるのか。この謎は、まだ解明されていません」 ところが、2023年6月21日付で学術誌「PLOS ONE」に発表された論文によると、米大陸を渡るオオカバマダラの不思議な力の一部は、驚くべきことに、その小さな羽