政府の国家戦略会議がテーマの一つとする大学改革論議で、大学の「統廃合促進」が取りざたされている。 いわく、大学が増えすぎて学生の質が下がった。専門知識はおろか一般教養も外国語も身についていない。大学への予算配分にメリハリをつけ、競争によって質を上げよ。校数が減って大学進学率が下がってもいい。 企業人や閣僚が、そんな主張を展開した。 しかし、大学や学生の数を減らせば質が上がるのか。弊害にも目を向ける必要がある。 問題提起じたいはわかる。 学生の勉強時間は少ない。東大の調査では、米国の学生の過半数は授業以外の勉強時間が週11〜15時間だが、日本は5時間以下が6割を超える。 世界と渡り合える優秀な人材を育てないと日本は埋没してしまう。産業界にはそんな焦りがある。新卒の3割が3年以内に離職することへの不満も強い。 しかし、大学の淘汰(とうた)を進めると、都会と地方の格差が広がるおそれ